将棋の第82期名人戦7番勝負(毎日新聞社、朝日新聞社主催)第3局は9日、羽田空港第1ターミナルで第2日が指し継がれ、先手の藤井聡太名人(21)=王将含む全8冠=が豊島将之九段(34)を95手で下してシリーズ成績を3勝0敗とし、初防衛に王手をかけた。

 藤井は第1日午後から奪ったリードを徐々に広げ、午後5時43分の早期終局を導いた。形勢を示すAI曲線はまるで航空機が離陸時に描く上昇直線。苦戦の過去2局とは対照的な内容だが「序盤は激しくなりそうな形。その後に中盤は駒組みに戻るようなところもあって、判断の難しい一局でした」と殊勝に振り返った。

 並行開催の叡王戦では伊藤匠七段(21)に1勝2敗と追い込まれているが、こちらはストレート防衛まであと1勝。史上初の空港対決を制し「対局室から飛行機の着陸の様子がよく見えてリフレッシュすることも多かった。良い環境の中で対局できました」と目尻を下げた。

 第4局は18、19日に大分県別府市で行われる。