女優の伊藤沙莉(30)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「虎に翼」(月〜土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は14日、第55話が放送された。話題のシーンを振り返る。

 <※以下、ネタバレ有>

 向田邦子賞に輝いたNHKよるドラ「恋せぬふたり」などの吉田恵里香氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算110作目。日本初の女性弁護士・判事・裁判所所長となった三淵嘉子氏をモデルに、法曹の世界に飛び込む日本初の女性・猪爪寅子(ともこ)の人生を描く。吉田氏は初の朝ドラ脚本。伊藤は2017年度前期「ひよっこ」以来2回目の朝ドラ出演、初主演となる。

 第55話は、少年審判所と家事審判所の合併はうまく運ばない。佐田寅子(伊藤沙莉)は「東京少年少女保護連盟」のメンバーとして活動中の弟・猪爪直明(三山凌輝)に賭けてみることに。少年審判所の壇(ドンペイ)と家事審判所の浦野(野添義弘)は果たして直明の言葉に耳を傾けるのか。年明け1月1日の家庭裁判所発足へ、設立準備室の面々の奮闘が続く…という展開。

 1948年(昭和23年)12月、直明たちが準備室を訪問。寅子は弟のキラキラした瞳に賭けた。

 直明は壇と浦野に「お二方とも、見ている方向は一緒ということですね。僕らも、全国の学生が団結することで支援が広がっています。お二方の所属する組織が団結すれば、より多くの子どもたちを救うことができます。大人の事情があるのだとは思いますが、それを取っ払い、手を取り合えるのは本当に素敵なことです」と熱弁した。

 多岐川らは胸を打たれ、皆が一丸に。法曹会館4階の宴会場が東京家庭裁判所の事務所として借りられることになり、大みそか、猪爪はる(石田ゆり子)ら猪爪家の面々、直明の仲間たちも手伝った。

 最後に多岐川は桂場等一郎(松山ケンイチ)に買ってもらっておいた花岡奈津子(古畑奈和)の絵を壁に飾る。それはチョコレートを分け合う3つの手――。

 多岐川「人間、生きてこそだ。国や法、人間が定めたものはあっという間にひっくり返る。ひっくり返るもんのために、死んじゃならんのだ。法律っちゅうもんはな、縛られて死ぬためにあるんじゃない。人が、幸せになるためにあるんだよ、幸せになることをあきらめた時点で矛盾が生じる。彼がどんなに立派だろうが、法を司る我々は、彼の死を非難して、怒り続けねばならん。その戒めに、この絵を飾るんだ」

 除夜の鐘が鳴り響く。

 多岐川は自身が死刑判決を下した死刑囚の処刑を見に行ったことがあるという。以来、判決をねじ曲げることを恐れ、凶悪事件は担当しなくなった。しかし、朝鮮から引き揚げ、上野で戦争孤児を目の当たりにした時、子どもたちのために残りの人生を捧げよう、未来に種を蒔く仕事をしようと誓ったという。

 1949年(昭和24年)1月1日、家庭裁判所が誕生した。

 第52話(6月11日)、多岐川は花岡悟(岩田剛典)のことを“馬鹿たれ判事”と呼んだが、その真意が明らかになった。

 SNS上には「直明くん、グッジョブ」「純度の高い正論って、こんな感じかー。キラキラパワーw」「チョコレートの絵、ぶわって涙出た」「あのチョコレートの絵とは。泣けてくる」「奈津子さん、これを絵に残すほど家族の思い出として煌めいていたんだな」「タッキー、熱いな」「チョビヒゲおじさんの言葉が心に染みる。花岡さんへの想い」「心が震えるほどにいい男」「多岐川の法律に対する考えに涙。花岡のことを大馬鹿者だと言いながらも一番その死を悼んでいるのだろうな」などの声。視聴者の感動や涙も誘った。

 17日から第12週「家に女房なきは火のない炉のごとし?」に入る。