大相撲夏場所(12日初日、東京・両国国技館)で新十両昇進を果たした塚原改め栃大海(24=春日野部屋)の化粧まわし贈呈式が8日、さいたま市西区にある母校の埼玉栄高で行われた。

 埼玉栄高出身の関取は、栃大海で通算28人目。同級生の琴勝峰(24=佐渡ケ嶽部屋)が19年九州場所で、王鵬(24=大嶽部屋)が21年初場所で昇進しているのに対し、後れを取りながらようやく関取の仲間入りを果たした。

 栃大海は、入間市立黒須中3年時に全国中学校選手権で優勝している元中学横綱。高校1年から早くもレギュラー入りしたが、全国高校総体団体戦決勝の金沢市立工業戦では当時3年で全国トップレベルの実力者だった深井拓斗(現幕下・深井)に完敗した。3年間指導した恩師の山田道紀監督は「その時は、これから育てるの大変だなと思いました」と当時を回想。「でも3年の国体では団体優勝を決めてくれた。遅咲きなんですよね」と教え子の成長を懐かしんだ。

 入門から6年かけてついに関取の座をつかんだ栃大海について、山田監督は「心が優しいんですよ。だから幕下上位で苦労したのかなと思います」と分析。「ただ、この苦労が人間的に大きくしたと思う。惨めな思いもしたと思うので、若い衆の気持ちも分かる関取だと思います。幕下で苦労していても十両を2〜3場所で(通過して)幕内に行く力士もいる。(関取に)上がってから力を出すのかな。負けないという気持ちを強く持ってほしいと思っています」とこれからの飛躍に期待を込めた。