春の最強古馬牝馬を決める「第19回ヴィクトリアマイル」(12日、東京)の出走馬が9日、確定した。2頭出し高柳大厩舎のサウンドビバーチェが唯一の木曜追い。昨年の当レース5着以来のコンビとなる松山弘平(34)を背に栗東CWコースを力強く駆け抜け、好気配をアピールした。1年前の上位馬が不在のメンバー。近2走は2桁着順に敗れたが、鞍上は「復調を示す競馬ができれば」と意気込んだ。

 2戦連続で2桁着順に敗れたサウンドビバーチェは“勝負”の木曜追いを選択した。コンビ復活の松山を背にCWコースでゆったりスタート。道中も力むことなく呼吸はピタリと合っていた。直線に入っても持ったままの手応え。ダイナミックなフットワークで駆け抜け、5F69秒9〜1F11秒7のタイムをマークした。

 昨年の当レース5着以来、1年ぶりにコンビを組む鞍上は「時計は出ていないですけど動きは良かったです。1年前と比べても大きく変わったところはないと思います。体もいいですし、これで走らなかったら精神面かもしれません」と出来に関して太鼓判を押す。

 キャリア13戦で最終追い切りを木曜に行ったのは2歳時の未勝利戦(1着)の1度だけ。当時は3日間開催明けの変則日程だった。木曜追いを行った理由について、高柳大師は「水曜に追い切るとスイッチが入って、その後が乗れる精神状態じゃなくなる」と気性面を考慮したと説明。「木曜追いでサラッと調整しといて、明日(金曜)は角馬場とかでほぐす程度の調整すれば」と見通しを語った。

 普段なら負荷をかける1週前追いを行った後からスイッチが入るが、今回は落ち着いた様子で最終追いを行えた。師は「気持ち良く走ってくれたし1年前と比べても遜色はない」とジャッジ。休養明けだった昨年12月のターコイズSは15着、今年初戦の東京新聞杯も14着と苦戦が続く。「ここのところの競馬を見ていると自分でやめているように見えるが、調教ではそういうところを見せない」と反撃に燃える。松山も「条件的には合うし復調を示す競馬ができれば」と力を込めた。

 暖かくなる時季が得意なタイプ。昨春も阪神牝馬S1着から当レース5着に好走した。師は「見ていても冬とは体の張りが全然違う」と上昇ぶりに目を細める。この日の栗東は10度近くまで冷え込み、「なんでこんなに寒くなったんだろう」と苦笑いを浮かべたが、レース当日は最高気温25度の予報。激走する条件は整いそうだ。

 《高柳大厩舎海外で奮闘》高柳大厩舎は日本時間5日朝に行われたケンタッキーダービーに参戦したテーオーパスワードが5着に健闘。夢舞台に立った師だが「当日は馬がイレ込んで、それどころじゃなかったです」と苦笑い。それでも「馬場を歩いていくのは独特ですし歓声も凄かった。またチャンスがあれば目指したい」と前を向く。その前日には米G2アリシーバSに出走したテーオーサンドニも2着に逃げ粘った。ヴィクトリアマイルはサウンドビバーチェとテンハッピーローズの2頭出し。海外で見せ場をつくった厩舎が国内G1でも魅せるか。