◇ナ・リーグ パドレス4―0ドジャース(2024年5月12日 サンディエゴ)

 パドレスのダルビッシュ有投手(37)が12日(日本時間13日)、ドジャース戦に先発し7回2安打無失点、7奪三振で3勝目。日米通算200勝へ王手となる199勝目を挙げた。大谷翔平投手(29)が欠場したド軍打線相手に、5回2死まで完全投球の快投。13年にマークしたメジャー自己最長の18回無失点に、11年ぶりに並んだ。「母の日」はプロ20年目で初めての登板。感謝の白星でもあった。

 初めての特別な日の登板を、失敗するはずがなかった。ダルビッシュがピンクのグラブとスパイクで快投。母・郁代さんにはメッセージと花を、観戦した聖子夫人には「今朝、プレゼントとさっき、ちょっとお花を」と感謝を込めた199個目の白星を届けた。

 大谷が腰の張りで欠場。「まさか出ないとは思っていなかった。何週間も前から(ド軍戦で)投げるんだろうと思って、凄く楽しみにしていた」と言ったが、ド軍打線に容赦はなかった。今季平均の93・9マイル(約151・1キロ)を上回る平均94・9マイル(約152・7キロ)の直球を軸に、速球系で押し込み5回2死まで完全投球。パヘスに四球、E・ヘルナンデスに右前打されたが得点は許さなかった。

 「(相手は)7、8、9回と強い。あそこで1点くらいと、やってしまうと後々キツくなる。0点に抑えられたのは凄くうれしかった」と6回2死二塁、3番スミスを95マイル(約153キロ)直球で空振り三振に斬り2度、雄叫び。7回2死ではパヘスをこの日最後の101球目、スプリットで3球三振に仕留めて、再び吠えた。大谷と山本が加入した「ドジャースを倒したい」と宣言した今季。宿敵を7回無失点に抑えたのは、カード初戦の同僚キングに続き2人目で、球団6年ぶりのド軍戦完封勝利だった。

 マイク・シルト監督は、抜群の切れと制球を「まるで外科医のように相手をなぎ倒していた」と名医のメスさばきに例えて絶賛した。前日は、女優・米倉涼子が本拠地を訪問。ド軍のデーブ・ロバーツ監督と記念撮影する姿があった。ドラマ「ドクターX」で演じた「私、失敗しないので」が決めゼリフの外科医のように、正確無比にミスなく打者を打ち取りゼロを重ねた。

 「見に来るのも分かっていた。気持ちは入っていた」という家族の前での白星。母親でもある聖子夫人の姿に「どれだけ(自分を)犠牲にして子供たちを育ててくれているか。この年になって母親がしてくれたことを実感できる」と改めて2人の「母」に感謝した。

 次回は中5日で18日(日本時間19日)、敵地ブレーブス戦の予定。「あまり考えすぎると勝てなかったり、苦しくなる。なるべく早く達成して気が楽になりたい」。昨年メジャータイ記録の307本塁打の強力打線は、節目の200勝の相手として不足はない。(笹田幸嗣通信員)

 ≪史上初4戦連続5回以上投げ被安打2以下≫ダルビッシュの7回2安打無失点の好投が、131年で大リーグ史上初の快記録を生んだ。米記録専門会社エライアスによると、パドレスは8日のカブス戦から、先発投手が4試合連続で5回以上を投げ被安打2以下を記録。これはマウンドが現在の距離になった1893年以降、初めて。この間、シースが7回1安打無失点、ドジャース戦ではキングが7回2安打無失点、ウォルドロンが5回1/3を2安打2失点だった。