◇交流戦 阪神0−2ソフトバンク(2024年6月14日 みずほペイペイD)

 【能見篤史 視点】伊藤将は8回まで2失点完投なら決して責められないが、ただ、広瀬に浴びた決勝2ランはもったいないと言わざるをえない。

 5回2死二塁で直球を左越えに運ばれた。1ボール2ストライクからの内角球が、外より高めに浮いたもの。捕手の坂本は内角へかなり寄っており、その次の1球で打ち取る組み立てだったはず。その前の2死走者なしからの笹川にもカウント1―1からの外角球が真ん中高めになり中前打。これも坂本が構えたミットとは全然違うコース。捕手の意図通りに制球できず、完全に失投だった。

 打線はモイネロから再三チャンスはつくったが走者を還せなかった。日本ハムの山崎や、オリックスの曽谷など左の好投手を攻略するのは難しい。この日のモイネロの速く大きなカーブなど武器となる“特殊球”があったり、食い込んでくる、逆に逃げていくという両サイドに広がる変化球は、阪神だけが抑えられているわけではない。すべての球種に対応することはできないし、追い込まれるまでは一つに狙いを絞っていくしかない。この日の阪神打線は初球から振っていくなど対策は見られた。

 打撃戦になることは少なく、僅差の展開が続くのは予想通り。ならば今できることは、やれることをしっかりとすることだけ。2回無死二塁で、走者の渡辺が豊田の遊ゴロで三塁でアウトになったが、「無死」「遊撃正面」など基本や状況に応じたプレーを徹底することが必要。一つ一つ修正することから始めていくしかない。(スポニチ本紙評論家)