浜松市浜名区の事故現場(5月13日)

静岡県浜松市で自転車に乗っていたと見られる小学生がゴミ収集車にひかれ死亡するという痛ましい事故が起きた。警察などによると、ゴミ収集車は小学生の存在に気付かずブレーキを踏まないまま衝突した可能性が高い。


女児に気付かずノーブレーキで衝突


「車と人の交通事故で女の子が動けない。反応も呼吸もない」

5月13日午後3時20分頃、浜松市浜名区新原の路上で自転車に乗っていたと見られる小学4年生の女児がゴミ収集車にひかれ死亡した。

現場は片側一車線の三叉路。女児は西に向かって横断歩道を渡っていて、ゴミ収集車は北に向かって走っていたと見られている。

警察によれば、ゴミ収集車の損傷具合から走行速度に問題はなかったものの、ドライブレコーダーに記録された映像などから事故が起きるまでブレーキを踏んでいなかった可能性が高い。事実、過失運転致傷の現行犯で逮捕された運転手(60)は、調べに対し「ぶつかってから気づいた」と話しているという。


当日の健康チェックなどに異常なし


事故から一夜が明け、運転手が勤める産業廃棄物処理業者が取材に応じた。

この会社によると、運転手は勤務歴15年以上で、当日の勤務予定は午前7時から午後4時20分まで。業務開始時に毎朝行っているアルコールチェックや健康チェックに問題はなく、事故当時は一般廃棄物の回収を行っていたそうだ。

各車両には急ブレーキや急ハンドルなどを感知して録画するドライブレコーダーが搭載されていて、会社では毎週映像をチェックしているものの、直近3年間で危険な行為に該当する運転も確認されていないという。

また、この会社は毎月、交通安全教育を社員に行うなど安全管理には特に注意を払っていて、日頃の運転への意識を評価される形で、本社のある浜松市天竜区を管轄する天竜警察署と天竜地区安全運転管理協会から2024年度の安全運転管理推進事業所に指定されたばかりだったが、返上する意向を示している。


3年前にも業務中に多重事故


一方で、逮捕された運転手に関する新たな事実も明らかになった。

2021年5月、業務中に浜松市内の信号機のある交差点で複数の車を巻き込む交通事故を起こしていて、この時は幸いにして人的被害はなかったというが、前方不注意によって赤信号を見落としたことが原因だったそうだ。

このため、本人に安全運転に関する講習を受講させた上で、会社としても運転技術を再度確認し、1週間ほどで仕事に復帰させたという。

警察は容疑を過失運転致死に切り替えた上で、5月15日に運転手の身柄を検察庁に送る予定だ。

これまでのところ、事故の直前に携帯電話でメールや電話をしていた形跡はないとのことで、当時の状況も含めた事故原因の解明が待たれるが、失われた尊い命が戻ってくることはない。