ナダル、最後のマドリード大会は4回戦敗退
男子ツアー「ムチュア・マドリード・オープン」(スペイン・マドリード/ATPマスターズ1000)シングルス4回戦が現地4月30日に行われ、今季限りでの引退を示唆しているラファエル・ナダル(スペイン/世界ランク512位)は、第30シードのイジー・レヘチカ(チェコ/同31位)に5-7、4-6のストレートで敗戦。母国スペインでの試合を終え、「僕が獲得したどんなグランドスラムよりも大きな贈り物をくれた」と感謝の気持ちを述べた。



昨年から2024年シーズンがキャリア最後の年になると示唆してきた37歳のナダルは、最多12度制した4月の「バルセロナ・オープン・バンコ・サバデル」(スペイン・バルセロナ/ATP500)で3ヵ月ぶりにツアーに戻ってきたばかり。母国スペイン開催のビッグタイトルで今季3大会目を迎えた。

1回戦で16歳のダーウィン・ブランチ(アメリカ/同1028位)を6-1、6-0と圧倒すると、2回戦では第10シードのアレックス・デミノー(オーストラリア/同11位)を7-6(6)、6-3で撃破。3回戦でペドロ・カチン(アルゼンチン/同91位)を6-1、6-7(5)、6-3で下す快進撃を続けている。

しかし、その勢いも4回戦で止まった。試合は互いに一歩も譲らない拮抗した展開となったが、ナダルの弾道の高いショットに対してレヘチカは鋭くキレのあるサーブとストロークで“赤土の王者”を追い詰める。第8ゲームでのチャンスを逃したナダルは、セット終盤で痛恨のブレークを許して惜しくも第1セットを失った。

第2セットでは、若さあるエネルギッシュにプレーするレヘチカに向かっていくもチャンスを握ることはできず。1ブレークダウンで迎えた4-5の第10ゲーム直前には、ナダルを応援する声が一層高まり背中を押したが、ビハインドを挽回することができないまま4-6と、大会最多5度を制したマドリードでの大会を終えた。

今季での引退を口にしているナダルに対し、大会は試合後にセレモニーを実施。同大会でトロフィーを手にした2005、2010、2013、2014、2017年と「ありがとう、ラファ」と書かれた垂れ幕を掲げた。

「特別な1週間だった。いろいろな意味でポジティブ。バルセロナの2日前にはまた公式戦に出場できるかわからなかったが、今は2週間プレーしている。忘れられないよ」とファンに挨拶した。

「僕が言えることはただ一つ。ありがとうということ。子どものころに始まった信じられないような旅だった。初めてマドリードで出場したのは2003年で、その時は室内で行われていた。2005年に初めて優勝し、僕のキャリアの中で最もエキサイティングな勝利の一つだった。それ以来、みんなの無条件のサポートに支えられてきた。感謝してもしきれないよ」

「冗談だけど、来年また戻ってくるよ」と笑いも交えたナダルは、「僕にできることはキャリアを助けてくれたすべての人に感謝することだけ。まだ(選手として)終えていないけれど、マドリードに来るのはこれが最後だ。この21年間、僕が獲得したどんなグランドスラムよりも大きな贈り物をくれた。マドリードでスペインのファンの前でプレーした感動は、僕の中に永遠に残るだろう。このような経験ができたことはとても幸運。これ以上は望めない」と心のこもった言葉をファンに贈った。

今後は引き続きコンディションを整えて、8日に開幕する「BNLイタリア国際」(イタリア・ローマ/ATPマスターズ1000)やクレーコート・シーズンの集大成である「全仏オープン」(フランス・パリ)、パリ五輪、レーバー・カップ出場に照準を合わせている。


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著者:Tennis Classic 編集部