個人メドレーの第一人者が、最後の最後でパリへの切符を掴んだ。

 3月23日、競泳のパリ五輪代表選考会が東京アクアティクスセンターで行なわれ、リオ・東京五輪代表の瀬戸大也が男子200メートル個人メドレー決勝に登場。1分56秒87の1位で泳ぎ切り、日本水泳連盟が定めた五輪内定条件である派遣標準記録(1分57秒51)を突破。個人種目での代表権を3大会連続で獲得した。

 瀬戸はセンターレーンで登場。本命視していた400m個人メドレー、そして200mバタフライで代表切符を逃し、この種目がパリ五輪への文字通り「ラストチャンス」だった。

 バタフライで瀬戸は24秒96で折り返すと、続く背泳ぎは2番手で通過。いいリズムでトップ争いを繰り広げ、後半の平泳ぎと自由形に勝負をかけた。

 瀬戸は得意の平泳ぎで首位に浮上。29歳のベテランスイマーは最後の自由形でラストスパートし、逃げ切りを図る。昨年の世界水泳・福岡大会で決勝に進出した20歳の小方颯が猛追するが、そのまま瀬戸はトップを譲らずフィニッシュ。電光掲示板でタイム確認し、派遣標準突破を確認すると、瀬戸はホッとしたような表情を浮かべて観衆にガッツポーズで応えた。
  優勝インタビューで瀬戸は「応援ありがとうございました。最後の最後まで待ってくれてすみません」と笑顔。「400メートル(個人メドレー)でコケてまずいと思ったけど、ここは通過しないといけない」と背水の陣で臨んだことを明かし、「夏は任せてください」と今夏の大舞台に向けて心強いコメントを残した。

 伸び盛りな若手の脅威については「プレッシャーはもうないですね。この種目は自分の土俵なので、自分が思い描くレースをするだけだった」と話し、「落ち着いて自分を信じてやってきた。大好きな個人メドレーで若手が伸びてきているのは嬉しい。まだまだ最前線で戦いたいし、譲れない」と言葉に力を込めた。

 パリ五輪に向けては「自己ベストを超えるのが目標。コンディションを上げていき、メダルを取りたい」と答え、あらためて五輪でのメダル奪取を目標に掲げた。

 先日の世界水泳では最終日の400m個人メドレーで意地の銅メダルを獲得した瀬戸。競泳ニッポンを牽引してきたベテランは熾烈な国内選考会で苦しみながらも、その手で3大会連続の代表入りを見事に掴み取る勝負師の顔を見せた。

構成●THE DIGEST編集部

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