現地時間4月27日に行なわれたセリエA第34節で、ラツィオはヴェローナを1-0で下し、3連勝を飾っている。

 オリンピコでの一戦は、現在来季のヨーロッパリーグ出場圏内(6位)につけるラツィオが下位に沈む相手に主導権を握り、幾度も敵陣に攻め入ってゴールに迫ったが、待望の得点がもたらされたのは72分。ルイス・アルベルトのラストパスからマッティア・ザッカーニが、ニアの狭いシュートコースを射抜いてみせた。

【動画】「ラストスパートに集中する」元日本代表主将・長谷部誠が”流暢な”ドイツ語で引退会見 鎌田大地は、リーグでは5試合連続の先発出場を果たし、4試合連続でのフル出場。中盤で幅広く動き回りながら、攻守で奮闘。66分には敵陣でのボール奪取から自ら持ち込んでペドロに決定的なクロスを送るなど、印象的なプレーが幾度も見られた。

 自身のSNSに「あと4試合」と残りのシーズンで全力を出し切ることを誓った背番号6に対し、彼を重用し続けるイゴール・トゥドール監督は「私にとって彼は、素晴らしい選手であり、様々な役割をカバーできる。非常に強いメンタルを持っていて、DFの前でプレーすることも、もう少し攻撃的にプレーすることもできる。決して諦めず、頭の中にコンピューターが入っている。心理的な観点からいえば、チームにダイチが10人いることが、全ての監督にとっての願いだろう」と賛辞を贈っている。

 現地メディアからの評価も軒並み高く、スポーツ紙『Gazzetta dello Sport』は10点満点の採点で「7」、日刊紙『Il Messaggero』は「7.5」をそれぞれ付与。スポーツ紙『Corriere dello Sport』も「7.5」とし、前の2紙同様にチーム最高タイで、「プレーは整然としており、正確で、継続的に突破を披露。彼は着実に成長しており、指揮官からの信頼が良い影響を与えているのが分かる。完璧なアシストをペドロに提供したが、スペイン人選手はそれを活かせなかった」と、ポジティブな寸評を綴った。
  一方、日刊紙『Roma Today』は「5.5」止まりで、「プレッシャーが甘く、競り合いで力強さを欠き、攻撃の最終ラインでのプレーは控えめだった。後半に見事なインターセプトがあったものの、それだけでは足りなかった」とネガティブ評価。『LEGGO』紙も同採点で、「日本人選手はミスが多く、付加価値を提供できず。後半に唯一興味深かったアイデアも、ペドロによって台無しにされた」と、こちらも寸評は厳しい内容となっている。
  対して、スポーツ専門放送局『EUROSPORT』は「6.5」という及第点以上の採点を与え、「他の選手からパスを受けるも、常に攻撃を速める術を見つけていたわけではなく、時折ミスも犯した。後半は得点機を創り出したものの、ペドロがそれを逃した。全体的には合格点が与えられる」と綴った。

 スポーツ専門サイトでは、『Vi SPORT』も採点は「6.5」とし、「トゥドール監督はこの日本人選手に信頼を寄せており、鎌田はそれに応えるため、より意欲的な態度を示した」と、監督交代が鎌田を取り巻く状況を良化したことを示し、同採点の『OA SPORT』は「ついに日本人選手が活躍を披露。質と量の両方で良いプレーだった」と称賛している。

 サッカー専門サイトでは、『calciomercato』が「(中盤でコンビを組んだ)マッテオ・ゲンドゥジと交互に攻守を担当。常に正しい位置取りを見せた。前半は攻撃面で決定的なプレーはできなかったが、後半は今季初めて個性を発揮し、試合のコントロールを維持する上で決定的な存在となった」とそのプレーを振り返り、こちらも採点は「6.5」とした。

 また『TUTTOmercatoWEB.com』は、チーム最高タイの「7」で、「(前任の)マウリツィオ・サッリ監督の時とは異なり、自信が増し、より意識的にプレーすることで、能力を最大限に発揮している。常にプレーに積極的かつ活動的であり、試合終盤にはプレーのレベルを上げ、攻守両面で決定的な役割を果たせる、汎用性のある選手であることを示した」と絶賛している。
  最後に、ラツィオのクラブ専門サイト『LA LAZIO SIAMO NOI.IT』は、トゥドール監督就任以降の鎌田の変化に注目し、「鎌田大地の謎……おそらく解決した。たった1か月余りで、トゥドール監督の“治療”により、彼はラツィオの中心に戻ってきた。サッリ監督の時にはチームの端に追いやられ、5試合連続でベンチに座ることすらあったが、クロアチア人名将の下では全く異なる。日本人選手は試合中、複数の役割をこなすことも辞さない覚悟だ。今や彼は、本当に不可欠な存在となっている」と綴り、以下のように続けた。
 
「プレー時間や走行距離、適応性だけでなく、元フランクフルト所属選手は、ドイツでの活躍を踏襲する形で、決定的な存在ともなっている。チーム内での鎌田の役割は全く逆転しており、『プロジェクト外の存在』からほぼ『テクニカルリーダー』に、そして『起用が難しい選手』から『ゲームの中心』に変わった」

 同メディアはこうして賛辞を贈った後、鎌田の来季の去就にも言及し、プレミアリーグ、ブンデスリーガのクラブからの引き合いがあることを紹介した上で、「トゥドール監督は、鎌田を説得してチームに残るよう努力するつもりだ」と、ラツィオ側が残留を強く願っていることを強調している。

構成●THE DIGEST編集部

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