伊藤沙莉がヒロインを務める連続テレビ小説「虎に翼」(毎週月〜土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月〜金曜の振り返り)の第22回が4月30日に放送され、直言(岡部たかし)がついに真実を口にした。ドラマ「エルピスー希望、あるいは災い―」(2022年、フジテレビ系)でも注目を集めた岡部の味わい深い演技が視聴者をくぎ付けにした。(以下、ストーリーのネタバレがあります)

■寅子、ついに“手がかり”を発見

「虎に翼」は、日本初の女性弁護士の一人・三淵嘉子さんをモデルにしたオリジナルストーリー。第5週「朝雨は女の腕まくり?」では、帝都銀行で経理課長職を務めていた直言(岡部)が贈賄の容疑で逮捕・起訴されるという大事件が描かれている。

この件は“共亜事件”として世間を騒がせた。予審を終えてやっと帰宅できた直言だったが、すでに罪を自白し起訴された後。それでも寅子(伊藤)は直言の無実を信じ、大学の仲間の力も借りて調書の洗い直しに没頭。そしてついに、母はる(石田ゆり子)がつけていた手帳に活路を見出した。

■「そんなもん、あるわけないだろ」

「調書の証言とお母さんの手帳の記録との齟齬(そご)が合計14点も見られます」「やったというなら、その証拠を見せて」と寅子に突きつけられ、直言はついに「そんなもん、あるわけないだろ。何もやってないんだから」と告白。政治家や官僚たちのため罪をかぶったことを打ち明け、「自白はすべてうそだ。だが罪はすべて受け入れる。裁判でもやったと証言する。すまない…すまない…」と、頭を床にこすりつけるようにして泣き崩れた。

「法律を学びたい」という寅子の夢をどんな時も応援してきた優しい父・直言。寅子が女子部時代に男子学生と大乱闘を起こし新聞に撮られた時にも、その紙面を見ながら「このトラよく撮れてる」と嬉しそうにしていた姿も印象深かった。

そんな直言がすっかりやつれ、愛する家族をつらい目に遭わせていることを知りながらも罪をかぶろうとしている。苦しむ直言に、視聴者からも「やっぱり無実だよね!あんなにやさしいパパが悪いことするはずない!」「すっかり小さくなってしまった直言パパの背中がつらくて見ていられない」といった声が上がった。

■「エルピス」「ハヤブサ消防団」でも注目

直言役の岡部は、劇団東京乾電池出身の俳優。自身が立ち上げた演劇ユニット「切実」のメンバーとしても10年以上活動し、演出も担当している。

さらに近年はドラマ・映画出演も多い。特に注目を集めたのは、49歳で演じた「エルピスー」の『フライデーボンボン』チーフ・プロデューサー村井喬一役。とにかく口が悪いが実は誠実なキャラクターが視聴者に愛され、“ハラスメントP”から最終回では“理想の上司”に大躍進。「ハヤブサ消防団」(2023年、テレビ朝日系)では、ここぞというときに失敗する気弱な班長・徳田省吾役でこちらも注目を集めた。“朝ドラ”ファンには「ブギウギ」(2023-2024年)の“アホのおっちゃん”役もなじみ深いだろう。

49歳で“ブレイク俳優”となった。4月28日に放送された密着ドキュメンタリー「情熱大陸」(TBS系)では「オーディション1000回くらい受けて995回くらい落ちたんじゃないですか」と語り、「最後はお寿司の宅配とか。42〜43までやってたんじゃないかな」と、数年前までアルバイトしていたことも打ち明けた。

■「父さんは悪者顔」に納得の声

その名が注目を集めるようになったのはここ数年だが、長いキャリアで培った演技力は確かなもの。「虎に翼」で直言が本当のことを打ち明けるシーンが放送されると、視聴者からも「岡部たかし、さすがの演技」「今週は岡部たかしさんの演技を堪能する週だな」「『エルピス』しかり、岡部たかしさんは冤罪とか疑われる役がハマる」の声が続々。直道(上川周作)の「俺にはわかる。父さんは悪者顔なだけで悪いことができるたちじゃないだろ」のセリフにも「“悪者顔”たしかに(笑)。岡部たかしさん、絶妙なキャスティング」の声が上がった。

直言の告白を受けて、弁護する穂高(小林薫)は無実を主張することを決意。5月1日(水)放送の第23回では、寅子が事件について、新聞記者の竹中(高橋努)に接触する展開が描かれる。