守り切る戦いもできる伝統の強さ

名将カルロ・アンチェロッティ率いるレアル・マドリードには、明確なスタイルと呼べるものはないのかもしれない。試合に合わせて様々な戦い方へシフトできる。これが最大の強みと言ってもいいだろう。

レアルは先日行われたチャンピオンズリーグ準々決勝2ndレグでマンチェスター・シティと対戦し、PK戦の末ベスト4入りを決めた。勝ったのはレアルだが、ゲームを支配していたのはマンCの方だ。120分間で33本ものシュートを放っており、レアルは防戦一方だった。レアルのポゼッション率は僅か32%、マンCが蹴ったコーナーキックの数は実に18本を数える。

スペイン『as』は「不可解」な勝利と振り返っているが、それでも勝ったのはレアルだ。若い選手たちにもクラブの誇りや哲学が浸透しており、フェデリコ・バルベルデやジュード・ベリンガムも守備に走り回っていた。

元フランス代表FWティエリ・アンリ氏は、「シティがボールを持って色々とトライしていたが、マドリーの守備は信じられないほどだった。しっかり守ることでゲームをコントロールすることもできるということだ。シティの方が優れたチームだと言う人もいるだろうが、守備もゲームの一部だ。マドリーは非常によく守った。 よく守ったチームが勝ったと思う」と守備の集中力を絶賛する。

仏『L’Equipe』は「不滅。マンチェスターでのゲームから、CLがレアル・マドリードの本拠地と表現しても驚く人はいない」とCLで圧倒的な勝負強さを発揮するレアルを称えている。

ホームでの1stレグでは3-3と撃ち合いになったが、あのゲームからより守備を重視した戦いへ変化できるのも見事だ。あの勝負強さには戦術を超えた何かがあるのだろう。