愛知県小牧市の愛知中央美容専門学校は2024年5月、突然、月末での閉校を発表し、波紋が広がっています。取材に応じた在学生は一様に不安や怒りを訴えています。

■「申し訳ございませんじゃないんだよ!」説明会では出席者からの怒りの声

 通信制とあわせて学生86人が在籍する小牧市の愛知中央美容専門学校は、5月9日に開いた保護者説明会で突然、5月末で閉校することを明らかにしました。

説明会の音声には出席者から厳しい声が残されていました。 出席者(説明会の音声): 「何だと思ってるの?子供たちの未来を」 学校側: 「申し訳なく思っております」 出席者: 「申し訳ございませんじゃないんだよ」

保護者からは「なぜ新入生を募集し授業料を支払わせたのか」などの質問が相次ぎましたが、学校側は取材に「事業継続ができないとわかって生徒募集をした事情は一切ない」と話しています。 愛知中央美容専門学校の代理人弁護士によりますと、出資する企業が2023年9月までに相次ぎ経営破綻し、新たなスポンサーを探したものの合意に至らず、資金繰りが悪化したといいます。 保護者によりますと、学生側には5月9日に開かれた保護者説明会で閉校が初めて伝えられ、出席者の中には、涙を流す学生もいたということです。 学費などの費用についても、1年生の場合、入学金と授業料として納めたおよそ100万円のうち5万円ほどしか返金できないと説明があり、説明会では保護者が学校側を強く非難する場面もありました。 出席した保護者(説明会の音声): 「いま何月だと思っているんですか?4月に入学したんです。いま5月、1カ月で皆さん全員100万円払っているんです。1カ月だよ?そんなこと分からなくて会社経営できるの?」

今回の件について学校側は、「事業継続することができないことがわかっていながら生徒の募集や入学金・授業料のお支払いを求めた等の事情は一切ございません」としています。

■「将来が見えない」「信じていたのに」…泣きながら不安や怒りを訴える在学生5人

 在学生5人が16日、取材に応じ、突然の閉校に、不安や怒りを訴えました。 在学生のAさん: 「ありえないって思うし。将来がみえないっていうかすごいみんなと…頑張ってきたのに…。お金と時間を返してほしいって思う」

在学生のBさん: 「先生や学校側のことを信じていたから、急につぶれるってなって、ただ悲しいし、ビックリしている」

在学生のCさん: 「一緒に卒業できないし、一緒に国家試験受けられないって思うと、すごい辛いし悲しいし」 楽しいはずの学校生活が一変し、動揺を隠せません。さらに、彼女たちを悩ませているのが「進路」や「お金」の問題です。 在学生のDさん: 「5月中に次の学校見つけて下さいって言われて。急すぎるし、環境が一気に変わって、次の学校がどういう動きなのかもよくわからないから、正直試験も受かるのかとかすごい不安で…」

在学生のEさん: 「(転校候補先が)実践型の学校なので。私たちは国家試験対策授業を主にやっていたので、そういうところでもなじめるかすごく不安です」

転校先はあるのか、転校できたとしてもその学校でやっていけるのか、不安を口にします。中には…。 在学生のAさん: 「お金の関係もあって、ちょっと今悩んでいる感じですね」

「美容師になりたい」という夢をあきらめることを考える学生もいました。

■支援の輪広がるも「簡単ではない」受け入れ

 愛知中央美容専門学校の閉校発表を受けて、学生の受け入れを表明する学校も増えています。 名古屋市中区の「中部美容専門学校」は、愛知の美容組合がつくった専門学校です。

中尾博志理事長は検討を進めた結果、受け入れを決め、22日から説明会も始めました。

中尾理事長: 「子供の夢を、美容師になりたいという夢を叶えてあげたい一心ですね。ぜひ気持ちを切り替えて次のステップを踏んでほしいなと思う」 中部美容専門学校は県内の美容室のオーナーが加盟する「愛知県美容業生活衛生同業組合」が設立した学校で、愛知中央美容専門学校の学生が編入する場合、組合が支援し、6月から9月の授業料などが免除されることが決まっています。 2024年5月17日放送(一部5月22日に情報更新)