静岡県熱海市伊豆山(いずさん)であった大規模土石流災害から3日で3年を迎える。警戒区域の立ち入り禁止は昨年9月に解除されたが、復旧工事が予定から2年遅れるなどし、被災者の帰還に影響を及ぼしている。

 伊豆山を流れる逢初川上流に造成された盛り土が大雨で崩落し、災害関連死を含む28人が死亡した。市によると、132世帯227人が避難し、今年6月末現在、旧警戒区域内に戻ったのは22世帯47人。78世帯117人は市内外で生活を再建し、32世帯63人は避難生活を続けている。

 市は3月、逢初川の河川整備と川沿いの道路整備を、当初の予定から2年遅れて2026年度末に完了させる方針を示した。鉄道高架下での工事が必要でJRとの協議に時間がかかることなどが理由だが、被災者からは「復興の形が見えない」といった不満が漏れる。

 災害の責任を明らかにしようと、遺族や被災者は21年9月、盛り土が造成された土地の旧所有者と現所有者を提訴。翌年には県と市も訴え、併合して審理されている。警察の捜査も続いている。(今坂直暉)