サッカーのU―23日本代表はパリ五輪アジア最終予選を兼ねたU―23アジアカップ準決勝(29日=日本時間30日、カタール)でイラクに2―0と快勝し、8大会連続の本大会出場を決めた。今後はオーバーエージ(OA)枠も含めて7月の本番に向けた新チーム編成が進められるが、今大会に不参加だったMF久保建英(22=レアル・ソシエダード)ら欧州組の招集が見込まれており、逸材たちのフル参戦が実現すれば〝金メダル布陣〟で大舞台に挑むことになる。

 大一番で大岩ジャパンが躍動した。前半28分にMF藤田譲瑠チマ(シントトロイデン)からのロングパスにFW細谷真大(柏)が反応。走りながら絶妙な位置にトラップすると、一気にゴール前へ迫る。鋭く切り返して相手DFを振り切り、右足で冷静にゴール右隅へ流し込み、日本に待望の先制点をもたらした。

 43分には、DF大畑歩夢(浦和)が左サイドを突破し、中央へボールを送る。ボールを受けた藤田はダイレクトでゴール前へパスを出し、最後は抜け出したMF荒木遼太郎(FC東京)がゴールネットに突き刺した。流れるようなパスワークから追加点を奪った。

 後半に入って反撃を受けた日本だが、GK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)を中心に守備陣が奮闘。最後まで集中力を切らさずに2―0と勝利をつかみ、この瞬間、日本は8大会連続の五輪出場を決めた。大岩剛監督は「ほっとした。自信を持って我々のスタイルを貫こうと。いろんな選手が来て、その代表が今来ている23人。しっかり勝ち抜こうと話をした」と胸を張った。

 大一番でヒーローとなった細谷は「チマが前を向いた瞬間にパスをくれた。落ち着いて流し込めた」とゴールシーンを振り返り「パリ五輪出場を目指してやってきたのでメダルを取れるようにやっていきたい」と宣言。圧巻の2アシストを決めた主将の藤田は「本当にこのチームは強くなった。まだまだ強くなるので、自分を中心にもっとレベルを上げていければいい」と強調した。

 日本は1968年メキシコ五輪の銅メダル以来、56年ぶりの表彰台が期待されている中、パリ大会ではさらに〝役者〟が揃いそうだ。今回の最終予選は、シーズンが大詰めのため、欧州クラブ所属選手をほとんど招集できなかった。しかし五輪本大会はクラブとの交渉次第で参加できる選手も出てくる。

 A代表で主力のMF久保建英(レアル・ソシエダード)やGK鈴木彩艶(シントトロイデン)をはじめ、MF鈴木唯人(ブレンビー)、MF斉藤光毅(スパルタ)、DFチェイス・アンリ(シュツットガルト)、FW福田師王(ボルシアMG)ら今回不参加だったパリ世代の実力者たちが結集すれば、オーバーエージ(OA、24歳以上)3枠と合わせ〝史上最強〟の布陣が可能となる。

 まずは決勝(5月3日=同4日)でウズベキスタンを倒し、アジア制覇を狙う大岩ジャパンは、金メダルを狙うパリ五輪にどのような編成で臨むことになるだろうか。