〝ミスター効果〟で虎狩りに成功した。巨人が3日の阪神戦(東京ドーム)に8―5で快勝。球団創設90周年特別試合「長嶋茂雄DAY」と題された伝統の一戦に姿を見せた長嶋茂雄終身名誉監督(88)に対し、花を添える形で勝利をプレゼントした。3月29日の開幕戦(対阪神)に続いて本拠地に来場したレジェンドのオーラとインパクトにチームの面々は舞台裏で、大きく心を奮い立たされていたようだ。

 首位・阪神を相手に試合開始早々から猛爆を浴びせた。初回に坂本の先制適時打を含む打者一巡の猛攻で一挙4点を奪うと続く2回には岡本の5号2ランが飛び出し、序盤だけで6得点。阪神打線の猛攻を受けて6回の時点で2点差にまで詰め寄られたが、8回には門脇が2点適時打を放って再びリードを拡大し、勝利を決定付けた。

「御前試合」での勝利に試合後の阿部監督も「もう今年初ってくらい(打線が)つながったので、いい攻撃だったなと思います。結果的に今日勝てたので、素晴らしい一日になったなと思います」と満足げな表情を浮かべた。

 大きく勇気づけられる場面もあった。5回裏終了時に長嶋氏が球団OBで自らのまな弟子である松井秀喜氏(49=ヤンキースGM付特別アドバイザー)に寄り添われながら、サプライズ登場。スタンドから割れんばかりの「長嶋コール」が沸き起こると笑顔を浮かべながら左手を上げて応え、最後は阪神ベンチにまであいさつに出向く〝大ハッスル〟ぶりだった。

 球団のメモリアルマッチとして「長嶋茂雄DAY」と銘打たれ、Gのレジェンドが満を持してグラウンドに登場。試合途中でありながらも松井氏とともに現れた長嶋氏が東京ドーム全体を飲み込む格好となり、そのイニング間は両軍の選手たち、監督ら首脳陣を差し置いて完全に〝主役〟の座を奪っていた。

 まるで後光が差し込むような長嶋氏のすさまじいオーラとインパクト。これにはチーム内からも「グラウンドでは全方向のファンに向けてあいさつされていた。阿部監督には直接ゲキを入れていましたし、最後に阪神ベンチにまであいさつに行かれた時は、さすがにびっくりしましたね…」と驚きの声が漏れていた。

 実際に言葉を交わした阿部監督も「球場に来ると元気になるというのをお聞きしていたので。(ミスター効果も)絶大にあったと思います」と感謝していた。

 これで今季は長嶋氏の来場試合で、いずれも阪神に2戦2勝。猛虎相手の首位攻防戦第1ラウンドを制し、その差を2ゲームとした。このまま一気に上昇気流へと乗りたいところだ。