春の大型連休が6日、幕を閉じた。4月27日からの期間中、青森県内各地の観光地や商業施設は多くの人でにぎわった。新型コロナの「5類」移行後初のゴールデンウイークとなったことに加え、好天に恵まれ、円安の影響からかインバウンド(訪日客)も増えた。受け入れ側からは、コロナ禍前の水準に戻った−との声も聞こえる。

 「コロナのためしばらく遠出する勇気は出なかったが、今年はようやく気分が上向いた」。秋田県鹿角市の赤坂一夫さん(55)は家族4人で青森市を訪れ、アニメグッズ専門店や青森魚菜センターなどを巡った。

 高齢者施設に勤めているため、これまで人出の多い所に行くのははばかられたという。県観光物産館アスパム(青森市)の土産物売り場で品定めする家族の姿を見ながら、「私も久しぶりに楽しめています」と笑顔を見せた。

 アスパムを運営する法人の岩谷大マネージャーによると、来館者数は大型連休前半が昨年と比べて3割増で、5月3、4日が2割増。好調ぶりの要因を「やはりコロナの自粛ムードが完全に終わったこと」と言い切る。

 世界遺産・三内丸山遺跡(同市)にも多くの人波が。出土品を展示する遺跡センターの入場者はコロナ禍前の2019年4月に約1万7千人だったのが今年は1万8千人と上回った。山田修子総務課長は「客入りは確かに多く感じる。アジア系も多くなってきている印象」と語った。

 八戸市水産科学館マリエントも多くの来館者でにぎわった。3〜5日の人出は昨年並みを確保。同館スタッフの野沢愛美さん(21)は「開館前から玄関口に人が並び、駐車場が満車になることもあった」と言う。6日も伝統の「南部もぐり」の実演やワークショップなどを多くの親子連れが楽しんだ。

 同日まで春まつりが開かれ、現在も八重桜が見ごろを迎えている八戸公園(同市)は昨年よりまつりの会期が1日短かったものの「人出は昨年より1割強増えた印象」(担当者)という。

 リンゴの花が咲き誇る弘前市りんご公園も「コロナ禍前のにぎわいが戻った」と担当者。一帯を鉄路で結ぶ弘南鉄道(本社平川市)の船越信哉常務は「客足は例年以上」と手応えを語った。「大鰐線のりんごねぷた列車などがSNS(交流サイト)で広まり、アジア圏を中心に人気が広がっている」

 「人出」は良かったが、「人手」不足がマイナスとの声も。津軽藩ねぷた村の中村元彦理事長は「客足は昨年比1割増」としながらも「バスガイドやバス運転手の不足が響き、コロナ禍前には及ばなかった」と残念がった。