桜から仰天出走のラインクラフトが2冠
桜から仰天出走のラインクラフトが2冠

【記者が振り返る懐かしのベストレース】桜花賞→オークス、皐月賞→ダービーと続くクラシックの王道に挟まれるNHKマイルCだが、05年の当レースは桜花賞馬ラインクラフトの参戦という話題で盛り上がった。

「変則2冠」という言葉に違和感を覚えなくなったのも05年があるからだろう。前年、キングカメハメハがNHK→ダービー制覇という変則2冠を達成したが、キンカメにとってNHKは初GⅠ。春のクラシックを勝った馬のNHK参戦は斬新、かつ新鮮だった。距離適性にかかわらず、「参加することに意義がある」のオリンピック精神が漂うのもクラシックの特徴のひとつだが、ラインクラフトはあえてオークスを捨てた。それまで牝馬のNHK出走は12頭いたが、桜花賞馬どころか桜花賞参戦馬の出走はゼロ。そんな現実に背いた利益追求だった。

 結果は…ラインクラフトの大楽勝。好位4番手で流れに乗り、完璧に折り合って上がり3ハロンはメンバー最速の33秒6。1馬身3/4差2着にも桜花賞3着から参戦してきたデアリングハートが入り、初の牝馬ワンツーを達成。主戦の福永は「こんなに強いのにもビックリしたが、3歳牝馬でこのレースを選択した先生(瀬戸口元調教師)の判断もすごかった」と振り返っている。

 その後、06年のGⅡ阪神牝馬Sを勝ったラインクラフトは4か月後、放牧先のノーザンファーム空港牧場で調教中に心不全を起こし、この世を去った。(2007年5月2日付東京スポーツ掲載)

【2005年・NHKマイルカップ】桜花賞馬ラインクラフトが〝まさかの参戦〟で大楽勝 福永も驚いた瀬戸口調教師の「英断」

著者:東スポ競馬編集部