春のダートマイル王に輝くのは…
春のダートマイル王に輝くのは…(左から時計回りに)ペプチドナイル、

かしわ記念2024

[JpnⅠかしわ記念=2024年5月1日(水曜)4歳上、船橋競馬場・ダート1600メートル]

 船橋競馬最大のレースが今年もいよいよ行われる。春のダートマイル王決定戦に今年もふさわしいメンバーが集結した。

 JRA勢の筆頭格はフェブラリーSを制しGⅠウイナーの仲間入りを果たしたペプチドナイル(牡6・武英智)。その前走は前半5ハロン通過57秒9のハイペースを4番手から追走し、抜け出すと2着馬に1馬身1/4差をつけ完勝した。初のマイル戦。それもGⅠでいきなり結果を出せたのだから距離適性も非常に高かったのだろう。中間は栗東坂路で4ハロン51秒台を2度マークするなど本番へ向けて至極順調だ。馬体重が520キロを超えるパワーに秀でたキングカメハメハ産駒。初となる船橋のタフな馬場も気にならないはずだ。

 キングズソード(牡5・寺島良)は初のマイルだった前走のフェブラリーSで後方から追い込んで勝ち馬と0秒3差の5着と適性の高さをうかがわせた。今回は鞍上に昨年のJpnⅠ・JBCクラシックを勝利に導いたモレイラが騎乗。〝マジックマン〟の手綱さばきにも注目だ。

 クラウンプライド(牡5・新谷功)はGⅠ級2着3回の実力馬。それも2022年GⅠチャンピオンズCと昨年のJpnⅠ帝王賞はタイム差なしでのもの。力量的にも悲願達成まであと一歩まできている。2走前のチャンピオンズC11着は本調子でなかった可能性が高く、前走のGⅠサウジC9着は前半4ハロン通過46秒01のハイペースを追いかけてさすがに苦しくなった。マイルは3歳時のヒヤシンスS6着以来だが、前走で速いペースを追走できたのはスピードがあるからこそ。この距離で新たな一面が見られるかもしれない。

 タガノビューティー(牡7・西園正)は昨年の2着馬。前走のフェブラリーSでも最後まで脚を使い4着とまだまだ衰えはない。展開に左右される面こそあるものの、しまいの脚は確実。ペースがある程度流れそうなメンバー構成だし、流れひとつで自慢の決め手は生きてくる。

 シャマル(牡6・松下武)は前走のJpnⅢ黒船賞で1年ぶりに勝利し復活を印象付けた。このレースは昨年0秒4差の4着。1200〜1400メートルで全9勝をマークしているように決してベスト距離ではないかもしれないが、同じマイルの南部杯で0秒1差の3着の実績もありこなせる範囲。川須騎手にとっても初のJpnⅠ制覇の期待がかかる。

 ウィリアムバローズ(牡6・上村洋)は前走のGⅡ東海Sで重賞初制覇。5歳時の昨年からメキメキと力をつけて、ダートでは13戦して馬券外に沈んだのが2022年みやこS14着のみ。初の船橋、初のマイル、初のナイターなどクリアすべき課題は多いが今の勢いがあれば一気に突破しても不思議はない。

 対する地方勢も強力な布陣で挑む。大将格は昨年2001年トーシンブリザード以来22年ぶりに無敗で南関東3冠馬に輝いた大井所属のミックファイア(牡4・渡辺和)だ。前走はフェブラリーSに挑戦。初の芝スタートでインで初めて砂をまともにかぶる形に。さらにいつも以上に後方からのポジションになったが、しまいは内から脚を伸ばし7着まで追い上げた。初物尽くしのGⅠで収穫は十分にあった。中間は大井の深い砂でも好時計を出しており、同じ砂質の船橋に替わってもこなせる下地はある。前走内容からJRA勢相手でも決してヒケを取らない走りを披露してくれるはず。

 船橋所属のギガキング(牡6、・稲益貴)は地方重賞7勝の実績の持ち主。内5勝が地元の船橋巧者だ。かしわ記念と同舞台だった前走のSⅡ京浜盃グランドマイラーズでは好位追走から上がり3F最速の脚で後続に3馬身差をつけて完勝。マークした1分39秒5は優秀で、馬場差はあれど昨年のこのレースのVタイムより0秒2遅いだけ。得意の船橋コースならJRA勢相手でも侮れない。

 浦和から参戦のオメガレインボー(牡8・小久保)はJRA6勝馬。転入後は〈1・2・0・0〉と崩れていない。新たな鞍上に未来の南関東エース候補・野畑凌を迎えどんなレース運びを見せるか。

 船橋所属ギャルダル(牡6・川島一)は2月にSⅢフジノウェーブ記念を連覇。2年前のこのレースでは8着に敗れているがまだ成長途上だった。完成期に近づいている今なら当時よりもJRA勢に接近するような走りが期待できそうだ。

 他にも2021年の覇者で転厩初戦となる船橋のカジノフォンテン(牡8・玉井昇)や同年のJDD覇者キャッスルトップ(牡6・渋谷信)などもエントリーしてきた。激戦必至の大一番。〝春のダートマイル王〟の称号はどの馬が手にするか。

著者:東スポ競馬編集部