改修・増築工事を経て学童施設「放課後かまくらっ子おなり」として昨年3月から利用されている旧鎌倉図書館(御成町)について、市内2つの市民団体が建物の維持管理計画作成と一般公開などの要望書を4月25日、松尾崇市長に提出した。

旧図書館は、関東大震災で倒壊後、篤志家の間島弟彦・愛子夫妻の寄付で1936年に建設。74年に中央図書館が開館以降は事務室として2014年まで活用された。

その後、老朽化などを理由に市は解体を予定していたが、保存を求める市民団体からの陳情を受け方針を一転。改修・増築工事を経て、23年3月に学童施設として開所した。今年3月15日には、青緑釉薬スクラッチタイル貼りの腰や懸魚つきの切妻屋根、アールデコ調の意匠が評価され、国登録有形文化財(建造物)に登録された。

今回、連名で要望書を提出したのは、図書館とともだち・鎌倉(通称ととも/水岡やす子代表)と鎌倉・文化の森(瀧下嘉弘代表)。2団体は、旧図書館前庭にある「間島君旌徳(せいとく)碑」を含めた建物の維持管理計画を文化庁が示す保存活用計画に準じて作成してほしいと市長に訴えた。

また、学童施設は一般の人が立ち入ることはできないため、建物の歴史・文化的価値、建築的価値、使われている古材等の保存状態などを見学できるように一般公開日を年2回程度設けることやユニバーサルデザインに配慮した説明板の設置なども要望した。

「市民に親しまれ、長く保存・活用されることを願う」と話した水岡代表らに対し、松尾市長は「後世にもきちんと引き継がれるようにという思いは了解した。工夫も必要だと思うので、これから相談・検討を行う」と答えた。

国登録有形文化財(建造物)には旧図書館と共に、大仏隧道鎌倉口の「旧神奈川県営湘南水道鎌倉加圧ポンプ所」(長谷・熊沢酒造株式会社所有)も加わった。現在の鎌倉市内の国登録有形文化財は2件を含む46件。