次に、教育投資について調べてみました。われわれが推計したデータによると、東大に受かった子どもたちに対する、教育投資の平均金額は約875万円でした。

詳しい計算式は『東大合格はいくらで買えるか?』の中で書いているので、そちらをご確認いただきたいのですが、この内訳は、「小学校約316万円、中学校約243万円、高校約316万円」となっています。

小学校と高校が同じ額になっていますが、これは中高一貫校に通っていたと語る人が多いからです。

『コスパで考える学歴攻略法』(藤沢数希著)では、2022年の東大入学者3000人のうち、半分を超える1500人以上が、36の名門高校から進学していることが指摘されています。全国5000校の高校のうち、36校が東大合格者の半分を輩出しているわけです。

このうち、中高一貫は32校。東大受験にとって、中学受験が大事なのかがわかると思います。今回のアンケートでも、約7割の東大生は小学生のときから塾に通っており、中学受験をしたと回答しています。

この金額に加えて、生活のためのお金(食費や生活費)、学校の入学金(私立の場合は年間100万円を超える場合もある)や、修学旅行のためのお金(最近は海外に行く学校も多く、50万を超える出費になる場合もある)、大学受験のための受験費用もかかります。

どれぐらいの年収で賄えるのか

さて、この金額はどれくらいの年収であれば賄えるものなのでしょうか?

中学受験をする子どもは、小学校4年生くらいから塾に通い始めるケースが多いようなので、10歳から18歳までの8年間で900万円を投資することになります。1年あたり110万程度、月間で9万〜10万円程度を「追加で」教育関連にかけるイメージです。

毎月これだけの金額を生活費から捻出するとなると、大変な努力が必要です。牛肉や果物類を買うのを控えたり、外食に行かないようにしたり。携帯電話は三大キャリアから、格安SIMへの乗り換えをしたり。または賃貸物件に住んでいる人なら住んでいる場所のグレードを下げるというのも選択肢でしょう。現状の家賃から3〜5万減らすレベルとなると、部屋の大きさ、都心からの距離、最寄り駅からの距離などを犠牲にしなくてはならないでしょう。かなり大変ですね。

しかし逆を言えば、これらの「不便」に耐えることができれば、9万から10万の教育投資は可能になります。もともとの暮らしぶりからは、大分落ち着いた暮らしとなり、金銭的には確かにきつい生活になりますが、不可能ではないラインだとも考えられます。