ただし、この金額が“平均値である”ことには注意が必要です。小学校から私立に通わせる家庭は、たいていの場合、中学校以降も教育投資に厚く資金を投入する傾向にあります。そのため、2000万〜3000万円の教育投資を受けて、東京大学に合格した人もいます。

一方で、まったくお金をかけずに東京大学に合格する人もいます。例えば、小学校から中学校、高校とすべて公立校を選択し、塾にも通わないで東京大学に合格するような人もいるのです。

義務教育である小学校と中学校は学費が無料なので、制服代や給食費などの関連費がかかると考えると、合計で100万円ほど。高校からは学費がかかりますが、都立高校の場合月々9900円、年額でも11万8800円です。

上記のような人たちが東大合格までにかかった費用は、単純に計算しても150万円ほど。150万円と聞くと、金額が大きく聞こえますが、実際にはこの金額を小学校入学からの12年間で割るため、多少の変動はあっても、1年あたり12.5万円。1カ月に1万円ずつ教育投資をしていけば、足りる計算になります。

週3バイト・浪人して東大合格

ちなみに私は、年収300万円代の家庭出身で、週3回バイトをしながら浪人して東大に合格しました。1人っ子ですが、もし兄弟がいたら、東大には合格できていなかったかもしれません。

いかがでしょうか?教育格差は、みなさんが考えているよりも深刻でしたか。それともみなさんが思っているよりも平等でしたか。

私の考えを述べさせていただくと、教育格差があるなかでも、一般入試は有用な試験だと感じます。

昨今、推薦入試の割合が大きく増えていますが、推薦入試は経験を重視する入試形態です。海外では経験をお金で買い、教育格差が広がっている事例もあるようです。不平等な部分もある一般入試ではありますが、それでも僕のように、週3回バイトをしながら浪人して東大に合格する人間が出てくる入試形態は、平等であると言えるのではないでしょうか。

著者:布施川 天馬