北大西洋条約機構(NATO)は、4月3〜4日にかけて外相会議を開催し、NATO独自の5年間で1000億ドル(15兆円)規模の対ウクライナ支援基金設立の検討に入った。

アメリカ議会がウクライナへの600億ドルの追加支援を下院議会で可決できない中、NATO独自の対ウクライナ支援基金を設立することで支援を継続するためだ。ウクライナへの支援縮小を宣言するアメリカのトランプ前大統領が今年11月の米大統領選で再選される「もしトラ」への懸念もある。

トランプ氏は「戦争を決着させる」と自信を示すが…

ポーランドのトゥスク首相は3月29日、欧州は「戦争前夜」にあると述べ、「ウクライナの敗北は欧州全体の安全を脅かす」と警告した。フランス国営テレビのフランス2は4月2日、「ロシアは5月にウクライナへの大規模攻撃を計画している」と指摘し、ロシア側はF-16戦闘機や長距離弾道ミサイルがNATO加盟国内から発射されれば、相応の対応をすると牽制する。

トランプ氏は3月10日、ロシアのプーチン大統領との特別のチャンネルを利用し、「大統領選に勝利した直後、大統領執務室に着く前に恐ろしい戦争を決着させる」と語った。彼独自の「ディール」に自信を示したわけだが、欧州で彼の発言を信じる者はいない。

それよりロシアがウクライナで一定の成果を出せば、ポーランド、チェコ、バルト3国、フィンランドなどが次の標的となる可能性が指摘されている。