北欧神話をモチーフにしたトールハンマー型ヘッドランプは、矩形のレンズの中にハンマーを入れるのではなく、LEDでハンマーを描いてフロントマスクの隅に置いており、そこから伸びる黒い枠が顔の輪郭を描いている。ハンマーは通常はデイタイムランプだが、ウインカーを出すとその方向だけオレンジの点滅に変わる。

ボルボ伝統の縦長コンビランプやXC40などに通じる2トーンルーフがボルボらしさを感じさせる(筆者撮影) ボルボ伝統の縦長コンビランプやXC40などに通じる2トーンルーフがボルボらしさを感じさせる(筆者撮影)

リアはボルボ伝統の縦長コンビランプを上下に分割し、下側はフロントマスク同様、パネル全体を黒い枠で囲んでいる。フロントに比べると要素が多い印象だが、下側のランプの中にストップランプやウインカーを収めたレイアウトはXC40と似ており、そこにフロントと同じ枠を融合させたと理解できた。

ディテールでは、ドアミラーがフレームレスであることが特徴だ。鏡面の汚れなどが気になるところではあるが、ミニマムなデザインへのこだわりは感じる。

フレームレスとしたことで視界を最大限に広げたドアミラー(筆者撮影) フレームレスとしたことで視界を最大限に広げたドアミラー(筆者撮影)

EX30は、ボルボとしてはコンパクトであることも特徴のひとつ。サイズは全長4235mm×全幅1835mm×全高1550mmで、全長はトヨタで言えば「ヤリスクロス」よりやや長い程度。BEVで言えばBYD「ドルフィン」が近い。

ボディカラーは5タイプを用意。かつての「1800ES」や「850 T-5R」などを思い出すモスイエローにまず目が行くが、試乗車のクラウドブルーも、イエローほどの存在感を出さずに北欧感を醸し出す、絶妙な色だと思った。

テスラ流でもボルボらしさあふれるインテリア

インテリアでは、まず運転席の前にメーターがないことに気づく。

シンプルさが強調されるインテリア。フロントウインドウ下端にサウンドバーが設置される(筆者撮影) シンプルさが強調されるインテリア。フロントウインドウ下端にサウンドバーが設置される(筆者撮影)

目の前にあるのはドライバーモニタリングシステムのセンサーだけで、ボルボではおなじみの縦長のセンターディスプレイに速度計などを一体化し、ドアなどに点在していたオーディオのスピーカーをインパネ奥にサウンドバーとしてまとめているのだ。

メーターをセンターディスプレイに集約する手法はテスラ流とも言えるが、速度計などを最上段にまとめ、中央にナビゲーションやエンターテインメント、下にエアコンと機能別にゾーンを分けているのは見やすいし、アイコンや文字が北欧らしいスマートなデザインであることも好ましい。