「株式市場の皆様の期待に応えられなかったことを、経営陣として非常に重く受けとめております」

国内製薬大手のアステラス製薬が4月25日に開いた、2024年3月期の通期決算説明会。日頃、はっきりとした強気な物言いで知られる岡村直樹社長CEO(最高経営責任者)は、いつになく神妙な面持ちで反省の弁を述べた。

それもそのはず、アステラスはこの1年で4回も通期業績予想の下方修正を行い、純利益は期初に見込んだ数字を9割以上も下回る結果となったからだ。

“恒例行事”と化した下方修正

ちょうど1年前、アステラスは2024年3月期(国際会計基準)について、売上高1兆5200億円(前期比0.1%増)、営業利益2880億円(同116.5%増)、純利益2270億円(同130%増)とする業績予想を公表した。

ところがその後、四半期決算の発表シーズンが来るたびに予想を下方修正。結果として、増収こそ維持したものの、営業利益は255億円(同80.8%減)、純利益は170億円(同82.7%減)と、2期連続の減益で着地した。2000億円台の営業利益をコンスタントに稼いでいた2010年代後半と比べ、収益力は落ち込んでいる。

減益となった最大の要因は、昨年買収したアメリカ子会社の無形資産の償却費を約600億円計上したことだ。ほかにも、新薬の販売が計画を下回ったことや、開発を進めている新薬候補の無形資産の減損損失を約400億円計上したことなどが痛手となった。

実はアステラスでは2021年3月期以降、4年連続で期初に掲げた業績予想を大幅に下回る事態が相次いできた。近年の同社にとって、下方修正はもはや“恒例行事”と言っても過言ではない。