東村:少女漫画家の立場から言わせていただくと、今の30代ぐらいの子たちが読んできた少女漫画のヒロインは無愛想でツンツンしていて、そういう女の子のことを「おもしろい」と思って飛び越えてきてくれる男こそが本物の男だ、という思想があるんですよ。

可愛くぶりっこしている女を好きになる男は、虚像の女が好きな浅はかな男。ツンツンしているけど仕事はがんばっている女を好きになった男こそ、女の本質をわかっているという理論。

(撮影:尾形 文繁)

植草:現実には無理ですね、それは(笑)。

東村:無理なんですよ。韓国ドラマもそう。ツンツンして暴言ばかり吐いているけど、お酒を飲んで酔っ払うと泣き始めるヒロインばかり。この現象を私は「韓ドラヒロイン症候群」と呼んでいます(笑)。

現実的で幸せな結婚をする漫画を描きたい

東村:そういうツンツンした女が素敵な恋に落ちるのは、ドラマや少女漫画の中だけ。それなのに、幼少期に洗脳されたせいで現実に起こると勘違いしているんです。それは私ども漫画家にも責任があると思っています。だから私は、もっと現実的で幸せな結婚をする漫画を描きたいんですよね。

植草:バンバン描いてほしいですね。

東村:誰でも手に入るはずの幸せに、みんなこんなに苦労するのは悲しい状況だと思うんです。

植草:そう思います。結婚は強制されるものではないし、しなければいけないものでもない。長い人生ですから、「今は結婚よりも仕事」という時もあるでしょう。でも、結婚したいと思ったら、その時にはぜひしてほしい。40代でも50代でも、何歳でも。結婚は「したい」と思ったときが、その方の適齢期ですから。

東村:それはすごい言葉ですね。本人が望めばいつでも結婚できる。

植草:そうです。当相談所で結婚された方も、最初に相談所に来たときは「結婚できません。友だちはみんな結婚してる。親も悲しんでる。何とかなりますか」と、声を上げて泣いたりします。その方が夫婦2人の写真付きの年賀状を送ってくださって、次の年はお子さんがいて、また何年か経つとお子さんが増えていて、それを見ると私も嬉しいし、幸せな気持ちになります。

東村:「結婚したい」と思ったら、まずは植草先生のYouTubeを見て、本も読んでほしいですね。それから、政府は少子化対策の委員会に植草先生を呼ぶべきですよ、マジで!

前編:「1人では人生の"間"がもたない!」40代女性の切実

著者:植草 美幸,東村 アキコ