福島県石川町の町長が逮捕された官製談合事件。ともに逮捕された土木会社の役員と社員は、10年以上、2人だけで入札を担当していて、警察は2人が町長から情報を得た経緯を調べています。

官製談合防止法違反などの疑いで4月30日に逮捕された石川町の町長・塩田金次郎容疑者(76)の身柄は5月1日午後、検察庁に送られました。

4月27日に石川町立歴史民俗資料館の開館セレモニーに出席した塩田金次郎容疑者(76)

塩田容疑者は、2022年に行われた町発注の道路の改良工事をめぐる入札で、土木会社の当時の役員と社員に予定価格を漏らし、落札させた疑いが持たれています。

警察は30日夜、石川町の役場に入り、およそ4時間半にわたって家宅捜索を行いました。今後、押収した資料を調べ、事件の全容を明らかにすることにしています。

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また、関係者によりますと、競売入札妨害の疑いで逮捕・送検された土木会社の元取締役・添田保雄容疑者(63)、そして元社員の関根徳夫容疑者(69)は、10年以上2人だけで入札を担当していたということです。

警察は、3人の関係性や、2人が塩田容疑者から入札の予定価格の情報を得た経緯を調べています。また、情報の提供をめぐり塩田容疑者への見返りがあったのかどうかを含め調べを進めています。

受注10件中9件が落札率「95%超」

塩田容疑者は2018年に町長に初当選し、現在2期目で、これまで6年近く町長を務めていました。

一方、業者側の石川町の土木建設会社の元社員と元取締役は、関係者によりますと、入札の仕事を10年以上2人だけで担当していたということです。

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町長の塩田容疑者が予算に大きく関わる当選した翌年以降、2人が勤務していた会社は町発注の工事を少なくとも10件落札し、合計で約2億円の受注を受けていました。

行政の問題を指摘する全国市民オンブズマン連絡会議によりますと、一般的に「談合の疑いが強い」と言われる落札率95%以上の受注は、10件のうち9件を占めていました。

今後の捜査は、塩田容疑者と2人の関係性が焦点となります。そして塩田容疑者は工事の予定価格を漏らし、その見返りがあったのかどうか。同じような不正はなかったかどうか、捜査が進むことになります。

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