福島県喜多方市塩川町。この地で長年〝塩川の味″を提供し続けるお食事処『アタミ食堂』。のれんには近江商人18代目と書いてあります。

--斎藤和久さん(4代目店主)「食堂としては4代目なんですよ。商売をいろいろやっているもんで、商売人としては18代目ということになりますかね。」

創業90年を超える『アタミ食堂』は、4代目の和久さんと3代目の斎藤いく子さんの親子2人でお店を切り盛りしています。

喜多方の食堂といえば、やはり気になるのが「ラーメン」。

--斎藤さん(4代目店主)「先代の又、その上の代からずっと変わらない味。」

豚骨・野菜を煮込んだ、代々受け継がれる醤油スープに、これまた受け継がれる自家製の中太麺がイン!

--斎藤さん(4代目店主)「(麺は)もともと太めだったんですけど、細めを好むお客さんが多くなってきましたね。日々調整!」

変わらぬ味を大切にしながらも、お客さんの需要に合わせて日々進化しているんです。これは世代を超えて愛されるのがよくわかります。

--お客さん「麺もおいしいし、スープもおいしいですね。」

そんな食堂には、とある名物があるんです。それが・・・。

--斎藤さん(4代目店主)「はい、お待たせしました!『モツ定食(900円)』です。」

ボリューム満点のモツ定食!しかしこの定食、なんと〝モツ″が使われていないんです。

--斎藤さん(4代目店主)「鳥の皮を煮込んでおり、内臓ものじゃないんです。旧塩川町エリアだけは、なぜか昔からそれを〝モツ″と呼んでるんですよ。」

そう、旧塩川町のご当地グルメ「モツ煮」は内臓の〝モツ″ではなく、鳥皮をじっくり煮込んだものなんです。

その作り方を見てみると・・・あれ?何をしているのでしょうか?

--斎藤さん(4代目店主)「これは鳥の皮の〝毛抜き″なんです。焼き鳥みたいに焼いて落とすことができないんで、ピンセットで1本1本抜いていきます。もう毎日毎日こうやってにらめっこしています。」

老舗にも関わらず、おごることなくお客さんのためを思い、緻密な作業を続けているんです。

そんなアタミ食堂の味は、いく子さんの祖母から代々受け継がれてきました。

--いく子さん(3代目店主)「『もっといい仕事あったら、なにやってもいいんだぞ』っておばあちゃんたちには言われてたんですね。(私が)学校を卒業したら店を辞めて父はサラリーマンになりたいと言っていたが、父が倒れてしまい、妹たちの生活のために母と食堂をやるようになって。多分、私に〝また次やれよ″って神様はそう言っているんだと思った。」

塩川の味、そして家族の味として大切に受け継がれてきた『鳥モツ』。醤油とニンニクで煮込んだ鳥モツはプルプル。ご飯との相性も抜群で、噛めば噛むほどうま味が出てきます。

--スタッフ「(2人の)コンビネーションはどうですか?」

--いく子さん(3代目店主)「まぁ、なんとかね。息子とだからやってられる。」

--斎藤さん(4代目店主)「お互いイラっとすることは山ほどあります。1日1回くらい。」

--いく子さん(3代目店主)「息子だから仕方ない。だって1人ではできないしね。」

親子2人で変わらぬ味を提供し続けるために、アタミ食堂は明日も暖簾を掲げます。

【紹介した店舗情報】
アタミ食堂
住所:福島県喜多方市塩川町字新丁1825
問い合わせ:0241-27-4109
営業時間:午前11時〜午後8時
定休日:不定休

『ステップ』
福島県内にて月〜金曜日 夕方6時15分〜放送中
(2024年5月9日放送回より)