岐阜県関市の長良川では5月11日から、小瀬鵜飼が始まりました。1000年以上続く、鵜を使った伝統の漁にカメラが迫ります。

世襲制の鵜匠の世界

宮内庁式部職鵜匠4代目・岩佐昌秋さん

毎年5月中旬から10月中旬にかけて行われる古代の漁法「鵜飼」。鵜が魚を捕らえる姿をひと目見ようと、毎年多くの人が観覧船から見守ります。

「鵜匠自身は世襲制でやりたい人がいてもやれない」。鵜匠を継ぐことができるのはその家に生まれた男性のみ。宮内庁式部職鵜匠4代目の岩佐昌秋さんは引退後、息子さんに継いでもらうと話します。

1000年以上続く小瀬鵜飼

夜になるとかがり火をたいて、鵜舟と観覧船が並んで川を下ります。小瀬鵜飼は1000年以上前の当時の漁法を忠実に再現。鵜は「首結い」と呼ばれる技法によってひもでくくられ、鵜匠は手縄(たなわ)で鵜を引き上げます。国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統的な漁法です。

首結いの加減や手縄さばきは鵜匠の卓越した技術の1つ。鵜の動きに合わせて手縄を引く鵜匠の姿は圧巻です。さらに鵜匠は「ホウホウ」という掛け声や、船べりを叩く音で鵜を激励します。

「鵜が魚を捕らえるところを見てもらいたい」と語る

「暗さがあるので、かがり火の燃え具合が非常に良い。素朴で環境の良いところで行っています。鵜が魚を捕らえるところが一番の見どころです」と岩佐さん。鵜と鵜匠による息の合った小瀬鵜飼に、観覧客は目を輝かせていました。