2日の円相場は一時、急騰したものの1ドル155円台で推移。ただ、さかのぼること約10年前は1ドルは95円台でした。深刻な円安は「生活の味方」の100円ショップにも及んでいました。

■カップ麺も缶詰も…“種類激減”

 それはもはや日常生活に欠かせない存在です。

 何でもそろう“家計の味方”の100円ショップ。円安で今、危機を迎えています。

100円ショップ越後屋 坂井一彦さん
「前は全部、ここ(下)までギッシリ、1列ずつ全部、違う種類だったが」

 神奈川県川崎市にある100円ショップ「越後屋」。以前、カップ麺が置いてあった棚に今はごみ袋が…。

100円ショップ越後屋 坂井一彦さん
「今、これが残っている『ゆであずき』」

 缶詰はあずきだけ。円安が品ぞろえを激変させました。

100円ショップ越後屋 坂井一彦さん
「外国の原料が多いから100円で売ることができない状態」

 止まらない円安。2日朝は為替介入があったのでしょうか、157円台から1ドル=153円台まで値上がりしましたが、その後、再び円安に振れました。

100円ショップ越後屋 坂井一彦さん
「100円で売りたいので、あちこちから仕入れる感じ。なかなかそれでも(商品が)全然そろわない状態で。お客さんも期待できない状況」

 一方で、利用者からはこんな声も…。

筆ペンを購入 利用客(50代)
「僕も製造業なので、100円で作っているメーカーさん多分、大変だと思う」

■大ヒット連発の社長 ド派手に登場

 100円ショップ商品の製造の現場はどうなっているのか…。

アイデアセキカワ 関川功社長
「大ヒット商品ですね、1千万個ぐらい売れてるじゃないですか」

 11年前に番組で取材した、あの人に会うため新潟県燕市に行ってみると。何やら、迫り来る真っ赤な乗り物が。まさかと思いきや、やっぱり…。

 100円ショップ商品の開発歴25年、「アイデアセキカワ」社長の関川さんは前回より、さらにパワーアップした姿で登場です。

アイデアセキカワ 関川功社長
「中の色も変えられる」
「(Q.派手ですね?)こういうの乗ってる人は皆、人よりも目立ちたがり屋がいっぱいだから。その戦いみたいな」

 11年前にも乗っていた約1000万円のバイクをさらに1000万円ほどかけて改造したそう。一見、絶好調に見えましたが…。

アイデアセキカワ 関川功社長
「非常に苦しいですね。円安になったものだから、プラスチックの材料からステンレスから、あらゆるものが値上げになってますから、もう大変ですわ」

 ここにも円安の打撃が…。ただ、関川さんには“100円を守り抜く秘策”がありました。

■材料費↑で“商品の廃番”も

アイデアセキカワ 関川功社長
「このトングは良いですよ。これで肉をつかむ。つかんでこのまま食べられる。普通のトングだと大きくて。置いても下に付かないし」

 これまで約200の100円ショップ製品を世に送り出してきた関川社長ですが、加速する円安に苦しんでいました。

アイデアセキカワ 関川功社長
「これはレモン絞りだが、こういう商品は100円じゃ作れない。網の値上げとか、全体的に上がって100円オーバーなので廃盤」

 せっかく開発した商品も廃盤に…。

アイデアセキカワ 関川功社長
「プラスチックの材料からステンレスから、あらゆるものが値上げになっているので、もう大変ですわ」

 番組では11年前にも関川社長を取材。この時は1ドル95円台を付けた日も。今月2日午後4時現在の155円台より60円も円高です。

アイデアセキカワ 関川功社長
「(Q.10年前は原材料費、コストは安かったか?)安いですね。今から言ったら、(仕入れ値が)1トン10万円以上違う」

■新商品どんどん開発!の“こだわり”

 そんな厳しい円安にどう対処しているでしょうか。

アイデアセキカワ 関川功社長
「今まで作っていた商品で差し支えないものは板厚を薄くしたり」

 100円ショップに卸しているというステンレスのトレーもこの円安で作り変えました。さらに、関川社長は新たな作戦に乗り出しました。

アイデアセキカワ 関川功社長
「円安で、なくなってる商品がかなり出てますから、売上を維持していくために、円安に耐えられる商品を開発して」

 厳しい状況だからこそ、新商品を次々に生み出すことに。

アイデアセキカワ 関川功社長
「この辺が最近作った新商品。これは栓抜きで、裏返したらペットボトルのキャップが取れる」

 固く締まり、なかなか開けられないペットボトルのふたも開けられる栓抜きや…。

アイデアセキカワ 関川功社長
「園芸スコップとか」
「(Q.これは100均?)100均です。大きいけれども、半導体とかで使った端材を利用して安くコスト抑えて」

 “円安に耐えられる商品”で立ち向かおうとしていました。

アイデアセキカワ 関川功社長
「この商売を始めたのが100円ショップのスタートですから、これが僕の基本だと思ってますから、これを失った時が終わりだと思って日々、努力して。バイクでも100円の仕事をして買えるようになった。100円が俺を救ってくれてるように思ってますから、ここでくじけたら駄目なんで頑張ってます」