生まれつき歯の数が少ない「先天性無歯症」のマウスに歯が生える薬を投与した結果、歯が生えたということです。

 世界で初めてとなる歯が生える薬の開発を進める産官学の研究チームが人に薬を投与して安全性を調べる「治験」を9月から始めると発表しました。

北野病院 歯科口腔外科 高橋克主任部長
「人は乳歯と永久歯と2本、歯の数を持っているんですけど、爬虫(はちゅう)類とか両生類とか、継続的に歯が入れ替わるんです。逆に言うと、なんで2本で止まるか不思議なわけです」

 人の場合は乳歯から永久歯に生え変わると、それ以降、新しい歯は生えてきません。ただ、「第3の歯」と呼ばれる「芽」は存在していて、人の成長とともに退化してなくなるとされています。

 研究チームは、この第3の歯の成長を抑制しているタンパク質を突き止め、その働きをなくして第3の歯の成長を促す薬を開発しました。

北野病院 歯科口腔外科 高橋克主任部長
「通常の歯の形のものが通常通り生えてきますので」

 マウスでの実験のビフォーアフターでは確かに歯が生えています。

 フェレットでの実験では6本だった前歯が7本に増えたということです。

 歯が生える薬は液体で、人の場合は腕などの静脈から点滴で投与する予定です。

創薬ベンチャー企業 トレジェムバイオファーマ 喜早ほのか代表
「今、想定しているのは1瓶を150万円と考えていて、想定しているのは1回投与で生えてくると」

50代の人
「なかなかちょっと、ぜいたくな治療かもしれないね。医学的には画期的だと思うけど」

40代の人
「歯を再生したい人にとっては、それぞれの価値観ですけど、いいかなと思います。安全性とかが実用化までに実証されればいいのかなと」

 歯が生える薬の実用化は2030年ごろを目指していて、まずは先天性無歯症の患者向け。将来は虫歯などで歯を失った人にも応用する計画です。