厚労省が行った職場でのハラスメントに関する実態調査で、およそ9割の企業が客から理不尽なクレームを受けるなどの、いわゆる「カスハラ」に該当する事例があったと回答していたことが分かりました。

 調査は、全国の従業員が30人以上いる企業や団体、労働者らを対象に行われました。

 この調査結果によりますと、過去3年間で企業が相談を受けたハラスメントの件数は、「パワハラ」が最も多く64.2%、次いで「セクハラ」が39.5%、「カスハラ」が27.9%、「妊娠・出産・育休などにまつわるハラスメント」が10.2%でした。

 パワハラやセクハラの相談件数は減ったとする企業が増えた一方、カスハラについては、増えたと答えた企業の割合が高いことが分かりました。

 相談があった企業のうち、カスハラに該当すると判断した事例があると回答した企業は、86.8%に上りました。

 具体的な内容としては、「執拗(しつよう)にクレームを繰り返す」や「威圧的な言動」が挙げられました。

 客からの著しい迷惑行為に対する従業員の対応としては、「上司に引き継いだ」が37.4%、「謝り続けた」が32.1%で、通常業務に影響が出たとしています。

 被害が深刻化しているカスハラの問題を巡っては、16日、自民党の対策チームが「カスハラ」に該当する行為を明確化し、企業側に対応を義務付ける法整備を求める提言を、岸田総理大臣に提出しました。