4月26日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「サービスエリアで勝つ!〜GWは道ナカが熱い〜」。
日本経済の大動脈である高速道路には、現在852カ所のサービスエリア・パーキングエリアが整備されている。「ガイアの夜明け」は、そんな休憩施設をNEXCO東・中・西日本が進化させる取り組みを民営化直後から追い続けてきた。
きれいなトイレは当たり前で、入浴や宿泊施設なども充実。サービスエリア・パーキングエリアは、魅力ある旅の最終目的地にもなっている。
これまでにない新しいサービスの展開を目指す人たちの取り組みに密着した。

【動画】GWに行きたいサービスエリア!人気のご当地グルメも

もはや休憩場所ではない! 旅の目的地「サービスエリア」 の魅力とは


栃木・小山市。結婚3年目の関根伊織さん、里菜さん夫妻は、サービスエリアのガイドブックを見ながら休日の旅先を選んでいた。

里菜さんは、趣味が高じてYouTuberに。サービスエリアを始め、ドライブで楽しめるおすすめスポットを紹介している。関東のサービスエリアはほぼ制覇したというエキスパートだ。

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関根さん夫妻は、日曜日の午前7時半に出発。休日ドライブのポイントは早朝の出発で、渋滞を回避しやすいという。
約4時間かけてたどり着いたのは、駿河湾を望む高台にある「駿河湾沼津サービスエリア」。知られざる絶景ポイントで、建物は地中海の港町をイメージしている。

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こちらは、隠れ名物の静岡おでん。鶏や牛すじなどの具材を濃口しょうゆを使った黒っぽいだしで煮込んだもので、いわしの骨や皮など丸ごと使った黒はんぺんも人気。

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富士山をイメージして刺身を豪快に盛り付けた「とと丸頂上丼」や、駿河湾でとれた生の桜えびと生しらすをふんだんに使った「生桜えびと生しらす食べ比べ丼」は、この時期しか味わえない人気メニューだ。
地元のお土産も充実。関根夫妻は、「ここでしか買えない商品やグルメがいっぱい詰まっている」「メインの観光地みたいになっている。ここのサービスエリアに寄りたいという感じで旅行は決めている」と魅力を話す。

サービスエリアの発信力を生かす!"不人気県“の魅力をアピール


埼玉から宮城を結ぶ常磐自動車道。茨城・笠間市にある「友部サービスエリア(上り)」の人気メニューは、1日40〜50食は出るという「納豆ラーメン」だ。
メニューを開発する総料理長の菅沼眞二さん(59)は、「“the地産地消”。本当にそこはこだわっている。肉から野菜から魚に至るまで、茨城でしか食べられないもの、食材をそろえてメニュー開発している」と話す。

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店頭のディスプレイをのぞくと、大洗の干物を使った定食や茨城のブランド豚・つくば美豚のとんかつ定食など、地域の食材を使ったメニューが並んでいた。

GWに行きたいサービスエリア「チョコザップ」が初出店?人気のご当地グルメも:ガイアの夜明け
菅沼さんが県内の生産者のもとへ足を運び、地元の食材を発掘してきたのは、食材を通じて茨城の魅力を伝え、旅の目的地にしてもらうのが狙い。茨城県の課題はほぼ毎年のように最下位に位置づけられる“魅力度”で、これをなんとか覆したいと考えていた菅沼さんに、絶好のチャンスが訪れる。
東日本のサービスエリア125カ所がご当地メニューを開発し、人気を競い合う初の料理コンテスト「ハイウェイめし甲子園」が開催されるのだ。

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菅沼さんは早速動き出し、茨城県のブランド和牛・常陸牛を新メニューの目玉の一つにしようと飼育農家を訪ねる。

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次に向かったのは、笠間市にある「伊藤農園」。ここで育てている自然薯は栄養価が高く“山芋の王様”と呼ばれる高級食材で、隠れた名産品として知られている。風味豊かでもっちりとした食感が特長だ。
さらに里山を進むと、今度は巨大な舞茸を育てるきのこ園が。舞茸を手にした菅沼さんは、「香りが違うよね」と笑顔に。この舞茸も今回アピールしたい食材の一つ。

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もちろんこだわるのは食材だけじゃない。続いて訪れたのは、江戸時代から続く地元の伝統工芸、笠間焼の工房。周辺地域で採れる良質な笠間粘土などを使う陶器だが、栃木県の益子焼ほど全国的な知名度はない。なんと菅沼さん、料理の器にも地元の物を取り入れようというのだ。
「向山窯」笠間焼伝統工芸士の増渕浩二さんは、「私どもも誇りとして頑張りたい」とうれしそうに話す。菅沼さんには“生産者を助けたい”という思いもあった。

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生産者の期待を背負い、菅沼さんが考えたハイウェイめしは、「Ibaraki〜杜の詩 いゃ!どうも〜」。茨城産の新鮮な野菜を盛り付けるのは、あの窯元に特注した笠間焼の器だ。
常陸牛のローストビーフ丼に、つくば美豚を使った生姜焼き丼、つくば鶏を使ったつくね丼と、牛・鶏・豚の全てを茨城産でそろえた。自然薯はだしを入れて粘りをまろやかに、大きな舞茸はスープにした。

実際にサービスエリアでふるまい、人気投票で順位が決まる今回のコンテスト。優勝して茨城県をアピールしたい菅沼さんだが、ライバルは北海道から神奈川まで強豪ぞろいだ。
果たして、茨城は勝てるのか――?

超人気SAの仕掛け人!高速道路へ初進出する次の一手とは


東名高速道路「海老名サービスエリア」は、グルメからお土産まで44店舗が軒を連ね、週末には1日10万人以上が訪れる屈指の人気施設。

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海老名の出店戦略を担っている「NEXCO中日本」サービスエリア事業部の内藤聡史さんは、「先端を行くサービスエリアであり続けたい。そういう環境をつくることを永遠の目標としている」と話す。

愛知・名古屋市に本社を構える「NEXCO中日本」(グループ従業員数約1万1000人、売上高約1兆1500億円)は、中部地方を中心に、東名高速や中央自動車道などを管轄している。
内藤さんの部署は、サービスエリアでさまざまな仕掛けをしてきた。

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「富士川サービスエリア」では、雄大な富士山の景色を味わえる大観覧車に加え、高速道路ならではのノンアルコール飲料専門のバーを設置。鈴鹿サーキットに近いパーキングエリアでは、F1にちなんだ展示スペースも。
「NEXCO中日本」のサービスエリア事業は、コロナの影響からいち早く回復し、右肩上がりで業績を伸ばしている。

内藤さんは積極的に異業種とタッグを組み、サービスエリアを旅の目的地としてもらおうと取り組んできたが、「人口の減少や自動運転普及などに伴ってサービスエリア事業がこのまま何も変わらなければ、今までのような成長を続けることは難しい。同じサービスが続いたら、お客様にもいつか飽きられてしまう」と、現状に危機感を抱いていた。

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この日、内藤さんは、東名高速道路「牧之原サービスエリア」の空きスペースを調査していた。海老名のようにテナントで賑わうサービスエリアだけでなく、未利用のスペースも多くあるのが実情。内藤さんはこうした場所を有効活用し、新たな賑わいを生み出そうと考えていた。

内藤さんが訪れたのは「RIZAP」グループの本社。「RIZAP」は、トレーナーがマンツーマンで寄り添うパーソナルジムで市場を切り開いた会社だ。

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今回出店を検討しているのは、「RIZAP」が2022年に始めた新業態「チョコザップ」。24時間・365日使える“完全無人”のフィットネスジムは、初心者でも使える気軽さと低料金が人気となり、会員数は112万人を突破している(※2024年2月時点)。
しかし内藤さんは、サービスエリアに取り入れるにあたり、店舗に人がいないことがネックになっていた。

「チョコザップ」は店内に10数台の監視カメラを設置し、映像をAIで分析。倒れている人や動かない人を検知すると、すぐに施設外のスタッフへ通知するシステムを構築しているため、サービスエリアでの展開にも自信があるようだ。

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数日後、内藤さんがチームのメンバーと向かったのは、「チョコザップ 東長崎南口店」(東京・豊島区)。出店への不安を解消するため、自分自身で体験してみることに。
器具の使い方やトレーニング方法をスマホの動画で詳しく説明しているのも「チョコザップ」特徴だ。
「これなら、ジムに慣れてない方でも抵抗感なく使えると思う」内藤さんも安心した様子。さらに個室でマッサージチェアを見つけた内藤さんは、「これがドライブ中に一番求められている気がする。実物を見ることができてすごく参考になった」と笑顔で話した。

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4月初旬。高速道路初となる「チョコザップ」の出店が決まった東名高速道路「日本平パーキングエリア」。中では内装工事が急ピッチで進んでいるが、実はここも飲食店が閉店した後、数年間空きスペースになっていた。そんな場所を有効活用し、新たな賑わいを生むのが内藤さんの狙い。あとは5月10日のオープンを待つだけだ。

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