5月3日(金・祝)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「“絶メシ”を未来に継ぐ!〜愛される地元の味〜」。
地元で愛されながらも店主の高齢化や後継者がいないため、絶滅の危機に瀕している絶品グルメ「絶メシ」。
群馬県高崎市では、老舗カレー店を継承した若者が、先代の死を乗り越え、味を守るべく新たな挑戦に動き出していた。
石川県志賀町では、40年以上続くドライブインの名物ラーメンを作る80歳のおばあちゃんが、能登半島地震で被害を受けながらも店の再開を決断する。
失われるには惜しい絶品の味を守ろうと奮闘する店主たちの戦いに密着した。

【動画】絶滅の危機「絶メシ」を救え! 地元で愛される絶品の味を守る人たち

亡くなった先代の意志を継ぎ、老舗カレー店の味を守る若者の挑戦


今、地元で愛されてきた絶品の味が、次々に失われている。飲食店の倒産は、ここ1年で過去最多の802件(2023年度 出所:帝国データバンク)。後継者不足が大きな要因の一つと言われている。

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群馬・高崎市では、後継者不足を解消する取り組み「絶メシ」プロジェクトが進められている。絶メシとは、“絶滅の危機”にある“絶品グルメ”のこと。
高崎市は、後継ぎが見つからない人気の飲食店60軒以上をリスト化し、絶メシをブランド化することで観光客を呼び込んでいる。
仕掛けたのは、高崎市の富岡賢治市長。「絶メシのリストに載っている店がどんどん繁盛すれば、後継者は見つかると思う」と、狙いを話す。

手打ちラーメンが人気の中華料理店「香珍」の店主・善養寺静雄さん(80)。絶メシのホームページで後継者を募集し、「店を継ぎたい」と何人も訪ねてきたそうだが、去年8月に閉店した。「心が全然ない。お金のことばっかりで」と善養寺さん。愛着のある店を託すことは、そう簡単ではないのだ。高崎市では、61軒の絶メシ店のうち、すでに12軒が閉店を余儀なくされた。
そんな中、絶滅の危機に瀕している店の味を守ろうと立ち上がった一人の若者がいる。

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高崎駅から車で約10分の場所にある「カレーハウス印度屋」。高崎市が認定する絶メシ店の一つで、自慢は、チーズたっぷりの「焼きチーズカレー」。

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今から40年前に創業した「印度屋」は、店主の荒木隆平さんと妻の千波さんが夫婦二人三脚で切り盛りしてきた。ガイアは2020年9月に2人を取材。その時すでに後継者を募集していた。

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今年3月中旬に印度屋を訪れると、厨房には若き2代目・周東祐一郎さん(29)の姿があった。周東さんは、先代の荒木さんからマンツーマンでカレー作りを学び、1年前に店を引き継いだのだ。しかし、胃がんを患っていた荒木さんが、2月下旬に帰らぬ人に。
頼れるのは、先代が残した「焼きチーズカレー」のレシピだけ。「(先代に)周東で良かったと言ってもらえるように頑張りたい」と、先代の味を守る決意を新たにする。

後継者として認められ、その味を受け継ぐことができた周東さんだが、実は解決しなければならない大きな問題を抱えていた。
去年5月に店を引き継いで以来、ずっと赤字が続いていたのだ。
先代とは違い、周東さんは店や駐車場の賃料を支払わなくてはならない。さらにアルバイトの人件費、原材料費の高騰も大きな負担になっていた。「年内もたないかもしれない」と周東さん。果たして2代目は、地元で愛される絶品の味を守り抜くことはできるのか?

震災に負けない! 能登の絶品ラーメンを守り続けるおばあちゃん


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能登半島中部に位置する石川・志賀町。この地で40年以上営業を続けている「ロードパーク女の浦」は、地元の魚介を使った料理が人気で、石川県の絶メシリストに載る一軒だ。
自慢は料理だけではない。店の目の前には、日本海の荒波が作り出した絶景が広がっている。

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お土産売り場と食堂を併設したこの店を切り盛りしているのが、岡本澄子さん(80)。
今年の元日に発生した能登半島地震で、店は大きな被害を受けていた。

例年「ロードパーク女の浦」は、冬は休業し、3月下旬から営業を再開する。しかし澄子さんは今年、店を開けるかどうか悩んでいた。店を開けたとしても、被災した能登まで観光客が来てくれるか分からない。さらに、震災で心労が重なり、澄子さんの体も言うことを聞いてくれない…。

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澄子さんの夫・護さんは18年前に他界していた。夫の死後、放心状態だった澄子さんを支え続けてきたのが、近所に住む前田隆さん、一子さん夫妻だ。
前田さん夫妻は、「とにかく開けておかなきゃダメ」「お客さんも楽しみにしているから」と澄子さんを励ます。
客を喜ばせるのが好きだった夫の意志を受け継ぎ、澄子さんは、今年も店を開けると決めた……果たして被災地の店に客は来るのか?

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