シント=トロイデンでアシスタントコーチを務めていたイサム・シャライ氏が、リバプールの日本代表MF遠藤航について語った。イギリス『スカイ・スポーツ』が伝えた。

湘南ベルマーレの下部組織で育った遠藤航。2011年2月にトップチームに昇格すると、2016年1月に浦和レッズへと完全移籍。2018年7月に海を渡り、シント=トロイデンに完全移籍で加入した。

2019年8月にシュツットガルトへとレンタル移籍すると、2020年7月に完全移籍。その後キャプテンを務め、チームをブンデスリーガ昇格に導くなど活躍。2023年8月にリバプールへと完全移籍を果たした。

大きなステップアップをした遠藤だが、獲得当初は大きな批判にさらされることに。期待値は低く、ファンからも疑問視する声があがったが、パフォーマンスで沈黙させることに。今ではアンカーとして欠かせない存在となっている。

そんな中、シント=トロイデンに加入した当初にアシスタントコーチを務めていたシャライ氏が遠藤について言及。「彼はとても内気で、英語もあまり上手ではなかったので、大変だった」とあかし、「彼に画像を見せたり、我々が期待していたものを見せたりすることがたくさんあった」と語った。

コミュニケーションで苦しむ可能性がありそうなスタートだったが、遠藤が違いを見せたのが「脱出ゲーム」だったという。

グループでパズルを解いて密室から抜け出す「脱出ゲーム」だが、シント=トロイデンではチームの結束を高める訓練として採用されていたという。

シャライ氏は「彼らはいくつかの暗号を見つける必要があった。選手たちが何をしているのかを確認できるように、いくつかのカメラを設置した」と説明。そこで遠藤が活躍したという。「多くの暗号を自ら発見したのは遠藤だということがわかった。彼はピッチ上ではとても賢い。しかし、ピッチ外でも賢い男だった。そのことが多くの選手から信頼を得ることとなった」とエピソードを明かした。

実に遠藤らしいエピソード。問題解決能力と状況把握、頭の回転のはやさがなければ、簡単に解くことができないの「脱出ゲーム」だ。

それから6年が経過。今やプレミアリーグで優勝を争うチームにおいて欠かせない存在となり、ユルゲン・クロップ監督も信頼を寄せる選手の1人にまで成長した。

遠藤は今シーズンのプレミアリーグにおいて、ピッチ上での90分間当たりの失点が最も少ない選手になっている。クロップ監督も以前「彼の守備頭脳は傑出している」と称えており、「彼はチームに何か違うものを与えている。それは明らかだと言わざるを得ない」と、期待を寄せていた。

シャライ氏は 「彼の最大の特徴は、チームにバランスをもたらすこと」と語り、「彼は試合をよく読む男だ。チームがボールを失ったときに何をしなければならないかを常に考えている。彼はワンタッチやツータッチでプレーするのが好きなので、試合をあまり複雑にしない」と特徴を紹介。「そして、テクニックは上手いし、メンタルもとても強い」と、全てを備えている選手だと称賛した。

そしてまだ見せていない能力もあるという。「おそらく、イングランドでは、彼が頭でゴールを決めることができ、長距離の良いシュートを打てるということはまだ知られていないはずだ」とコメント。シュツットガルト時代はチームの窮地を何度も救い、名前とかけて「LEGENDO」とも言われる遠藤のまだ見せぬ能力を見たときの反応は気になるところだ。