メルセデス・ベンツ「Gクラス」のオープン仕様がドイツのオークションに出品されています。いったいどのような車なのでしょうか。

世界のセレブが愛し価値も普遍のオフローダー

 メルセデス・ベンツ「Gクラス」は、ロングセラーのSUVです。1979年に初代が登場し、現在も販売が続いています。

 SUVは今でこそ大人気で、モダンなデザインの新型モデルが毎月のように登場していますが、Gクラスはそれらとは一線を画す本格オフローダーです。

 というのも、Gクラスは元々軍用車が出自といわれており、それを一般向けに改良して販売したのがモデルのルーツ。元々は「ゲレンデヴァーゲン」(ドイツ語でオフローダーの意味)と呼ばれており、その頭文字がGクラスの車名の由来となっています。

 軍用車はたくさんの荷物を装備して未舗装路を走行する性能が必要です。そのためGクラスは、悪路の走破性と車体の耐久性、荷物の積載性がとりわけ高く設計されているのが特徴。

 オフローダーとしての機能性を優先するように、飾り気のないスクエアなボディデザインを採用。このGクラス独自の個性を現在も受け継いでおり、世界中にファンが存在。車両価格も高額で、セレブ御用達のSUVとしても知られています。

 1979年に登場して以来45年の歴史を重ねており、その間大きな改良もおこなわれてきましたが、メルセデス・ベンツはその改良をフルモデルチェンジとは呼んでいません。

 デザインの刷新や装備の更新といったマイナーチェンジは行われています。外装ではフロントフェイスの刷新が数回行われ、デイライトを追加するといった安全面の強化が行われています。

 近年では2018年にフルモデルチェンジといえるほどの大規模な改良があり、2代目の初期型のような無垢なフロントフェイスに回帰。しかし、スクエアなボディと丸目のヘッドライトといった伝統的な意匠は受け継がれています。さらに2024年3月にも大規模な変更が行われました。

G63と同じ387馬力の5.5リッターV8エンジン搭載

 今回、オークションに登場した個体は、2012年型のGクラス「G500 SWB」(型式:W463)です。

ドイツのオークションに登場した2012年製メルセデス・ベンツ「G500SWB」

 5ドアのロングボディという構成がGクラスの定番ですが、G500 SWBは3ドアのショートホイールベース版です。

 何より車体後部が幌になっているオープンボディが特徴です。日本では正規販売がありませんが、同型車が「G500カブリオレ」として中古車市場に若干数が流通しています。

 エンジンは、「G63」にも搭載されている5.5リッターV型8気筒エンジンを搭載。最高出力は387馬力で、トランスミッションはAT、駆動方式はAWDです。

 ちなみにG63(アルファベット+2桁の数字)とは、メルセデスベンツの高性能モデル「AMG」に冠されるものです。

 「イリジウムシルバーメタリック」カラーをまとったボディは、ノーマルで状態が良好。G63用装備の19インチ G55ホイール、AMGドアピン、AMGキーカバーが装備されています。

 しかしマフラーは専用に近いものらしく、通常は5ドア向けのAMGマフラーを3ドアショートボディ用に作り直しているようです。

 内装は、フロント・リアシート、そして内張りと全体的にレザーを使用しています。キルティング加工を施しているのも特徴的です。また、センターコンソールなどにはカーボンパネルも装備。内装色はブラックで統一されています。カーボンパーツは通常は木製のものがカーボンに変えられているとのことです。

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 この個体の取引価格は23万3415ユーロ(約3840万円)と非常に高額です。ちなみに同型と思われる日本の個体を中古車サイトで見てみると「ASK」。それに近い「G550カブリオレ」は3500万円という値付けがなされています。

 ちなみに最新型のGクラスも「購入できない場合がある」と公式WEB(メルセデス・ベンツ日本)も謳っていることから、Gクラス全体が貴重価値の高い存在になっています。