カーナビ代わりにも使えるスマートフォンの無料地図アプリですが、ユーザー数の多い「Googleマップ」のほかにも多くの無料カーナビアプリがあります。いまその使い勝手の良さで人気が急上昇しているとウワサなのが「モビリンク」です。どのような特徴があるのでしょうか。

トヨタ車オーナーだけでなく誰でも無料で使える「モビリンク」

 GPSを使ったカーナビがはじめて登場したのは1990年。ユーノス「コスモ」に搭載されたCCS(カーコミュニケーションシステム)が最初でした。
 
 同年には市販型GPSカーナビ、カロッツェリア「AVIC-1」が登場しています。以来四半世紀が過ぎ、カーナビはドライブの必須アイテムとしてすっかり定着しました。

 スマートフォンが登場してからは、無料の地図アプリ、カーナビアプリも相次いで登場するようになり、いまではその人気は車載カーナビを凌駕するほどです。

 無料アプリにも多くの種類があります。人気なのは「Googleマップ」「Yahoo!カーナビ」、そしてiPhoneのiOSに標準装備される「マップ」ですが、いまその使いやすさでユーザー数を伸ばしているのが「moviLink(モビリンク)」です。

 モビリンクはトヨタが開発したアプリで、2021年3月にサービスを開始、Android・iOSに対応しています。

 トヨタの標準的な車載カーナビと同等の機能を持ちながら、誰でも無料で使えるカーナビ用アプリです。

 トヨタは近年、ディスプレイオーディオの標準搭載を進めていますが、このアプリを使うことで手軽にカーナビ機能が利用できるというわけです。しかも、その対象をトヨタ車ユーザー以外にも無料で解放しているから驚きです。

 トヨタ発のアプリだけに、その使い心地はトヨタの純正カーナビそのもの。交差点名を読み上げる音声ガイドはまんま同じで、高速道路での合流案内や一般道での側道案内も行うなど、その案内機能はかなりの充実ぶり。

 都市高速入口や高速道路での分岐点ではイラストを使って詳細にガイドするなど、もはや見た目には“トヨタ純正カーナビ”がそのままスマホに入ったと思えるほどです。

 ただ、データが重くなることを避けるためか、さすがに交差点拡大図をすべての交差点で表示することはありません。

 それでもオートズーム機能を使い、分岐点に近づくに従い、徐々に地図を自動的にズームアップしていきます。信号機の存在も地図上でガイドし、交差点名も一部で読み上げられていました。

 ルート案内中で便利と思えるのは、一般道や高速道において4つ先の交差点や施設のリストを表示することです。

 車線ガイドや交差点名の表示とともに、これを使うことで分岐点での心構えができるようになるのです。また、ルート上には他の候補ルートが表示され、これをタップすると即座に別ルートでの案内に切り替わるのも便利です。

 また、探索したルートは「お出かけプラン」として登録しておくことができます。出掛ける前にプランを経由地を含めた立てておき、当日はそれを展開すればすぐに出発できるのです。

交通情報はVICSを基本にトヨタが独自に収集した「Tプローブ」をプラス

 一方で、モビリンクは目的地を設定する時は音声での検索にも対応していますが、曖昧な入力やマイナーな施設には思うように探し出せないこともあります。

国会議事堂のような著名な施設は実際のスケールに合わせたリアルさで表現。交差点名や車線ガイドも使って案内する

 そんな時はGoogleマップで検索して、そのデータをモビリンクに転送して使うことをおすすめします。また、同様に「NaviCon」との連携することで、好みのアプリで探した位置情報の転送も可能です。

 交通情報はVICSを基本にトヨタが独自に収集した「Tプローブ」をプラス。日本の国道や都道県道に限った総延長距離は約40万kmと、ほとんどをカバーしています。一方で、GPSをロストした時は、一定時間を過ぎると停止していました。

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 カーナビとして使う以上、重要なのは目的地がスムーズに探せて、わかりやすいルート案内で目的地へと誘導することです。

 目的地の検索能力ではGoogleマップを超えるアプリがないのは明らかです。

 ただし実力差があることはライバルも認識していて、最近はGoogleマップの検索結果を他のアプリ上で共有することを可能にする事例が増えてきました。モビリンクもこれに対応しています。

 ルートガイドのわかりやすさでは、モビリンクに優位性があるといえます。分岐点では案内するタイミングが適切で、交差点名も表示して、一部では交差点拡大図も表示して目的地へと誘導。何よりも音声がとても聞きやすいため、状況把握がしやすいのです。

 対してグーグルマップは、ショートカットするルートを優先しがちで、時折、狭い道を案内されて困ることもあります。分岐点での案内では自動的にズームアップして交差点名も案内しますが、案内そのものは道路上に矢印を載せるだけと物足りなさを感じます。

 地図の美しさも、モビリンクに軍配が上がります。国会議事堂や東京タワーなど、著名な施設はリアルな形状で地図上に描いており、これは見ていても楽しいものです。

 オススメはモビリンクとGoogleマップの合わせ技かもしれません。

 モビリンクは地図がきれいで案内もわかりやすく、カーナビとして使うには最適。しかし、目的地の検索能力ではGoogleマップに敵いません。

 そこで目的地が思うように探せない場合はGoogleマップで探して、その座標をモビリンクに転送するのです。

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 これまで無料の地図アプリといえば、GoogleマップとYahoo!カーナビが双璧とされてきましたが、モビリンクも侮れない実力があります。