総合文具メーカーであるコクヨが販売を開始した高級筆記具「KOKUYO WP」が、その軽い書き心地で人気を集めています。いったいどんなペンなのでしょうか。その開発経緯も含め、「KOKUYO WP」の魅力に迫ります。
●「書く」を追求した2種類の高級筆記具
父の日や誕生日、転勤祝いなど、男性へのプレゼントにはよく筆記具が選ばれてきました。
2023年10月には、コクヨからそうした高級筆記具の「KOKUYO WP」が発売され、売り切れ続出の人気を集めています。
KOKUYO WPは、書き心地のみならず、インクの表現にまで追求した筆記具です。
特殊な樹脂製チップにより軽やかに書ける細字の「ファインライター」と、低粘度のインクによる自由な書き心地が特徴の「ローラーボール」の2種がラインナップされています。
インクは、フォーマルな場でもカジュアルな場でも使いやすいブルーブラック、ダークグリーン、ブラックの3色展開です。
それでは、「紙」に強みを持つ総合文具メーカーであるコクヨが、これまであまり手掛けてこなかった高級筆記具の開発に取り組んだのはなぜでしょうか。
KOKUYO WPの誕生について、担当者は次のように話します。
「『書く』という体験を通じて人の創造的活動の質を高めたいという想いから、筆記具に注目して開発したのが『KOKUYO WP』です。デジタル化が進むこの時代に、それでも『書く』ことに価値を感じ、こだわる人にふさわしい筆記具を届けたいと考えました」
これまでの筆記具は、筆記線のブレ(線の細い/太い)をなくし、安定した線が書けるように進化してきました。
しかし、コクヨは、この線の「揺らぎ」には、書いたときの気持ちも現れていると考えます。
KOKUYO WPはこういった筆記線の揺らぎにこだわって開発されました。
線幅の変化を感じられる「ファインライター」と、インクの濃淡の変化を感じられる「ローラーボール」を通じて、思考や感性をそのままに書き出すことができるのです。
●しなるペン先! シャバシャバしたインク!
では、筆記具にとって最も重要ともいえる「書き心地」には、具体的にどのような特徴があるのでしょうか。
「ファインライター」は樹脂製のペン先が書き味の決め手です。
ペン先の内部に微細なスリットをもち、毛細管現象によりインクがスーっと染み出すため、軽くなめらかな書き心地が味わえます。
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また、ペン先は砲弾形状になっており、わずかにしなることで、文字を書くときのトメ、ハネ、はらいなどの抑揚が表現できます。
筆圧によって線幅に強弱がつけられるため、文字や図形、イラストを豊かに書き出せるのです。
「ローラーボール」は、シャバシャバとした粘度の低いインクとその排出機構が特長です。
通常の水性ゲルインクのボールペンに比べ、インクがたっぷり出るため、水の上を滑るかのような、摩擦を感じさせない浮遊感があり、上下左右、自由にペンを動かすことができます。
さらに、たまり具合でインクの濃淡を表現できることも大きな特徴の1つです。早く書くと細い線が、ゆっくり書くと太い線が書けるので、表現力が高まります。
また、一般的なゲルボールペンが持っているバネを採用していないので、力をかけなくてもインクが出ます。
ペンの重みだけで滑るように書くことができるのです。
こうしたこだわりについて、担当者は次のように語ります。
「書き心地や佇まいなど、細部までこだわりをこめて良いモノを創ろうという、コクヨとしても大きな挑戦です」
そのため、「KOKUYO WP」は4400円と、やや高めに価格が設定されています。しかし、公式オンラインショップでは現在でも売り切れが続く人気があります。
ユーザーからの反響は、特に、こだわりぬいた軽い書き心地が好評なようです。
たとえば、「ファインライター」については、「初めての書き心地で楽しい」という感想が、「ローラーボール」は、「書きやすさもいいし、インクの濃淡もとてもきれい」という声が寄せられているといいます。
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KOKUYO WPは、応援購入サービス「マクアケ」での先行予約販売からスタートしました。そこで大きな反響を受けて行った抽選販売では当選倍率が26倍を超えるなど、大きな注目を集めています。
2024年1月には、ユーザーからの要望に応える形で新色が追加されており、今後の展開が期待されます。