働くクルマが好きすぎてどうにもならん! 役目を終えたパトカーや救急車や自衛隊車両に乗ることは可能? レプリカはどこまでなら許される??

この記事をまとめると

■パトカーや消防車に乗りたいと思っている人は意外と多い

■パトカーや自衛隊の車両は中古には出ず、消防車や救急車、バスなら購入できる場合がある

■メーカーのロゴなどを勝手にダウンロードして、貼り付けるなどの行為は違法となる

警察の払い下げ車両や自作のレプリカは乗ってもOK?

 世の中には、「見るほう」ではなく「自分で着るほう」の制服フェチ各位もいらっしゃる。であるならば「パトカーや消防車などを普段使いしたい!」と考える、ある種のフェチなクルマ好き各位もいらっしゃるはずだ。

 しかしそう思った際、実際にパトカーや消防車などの払い下げ車両に公道で乗ることは可能なのだろうか?

 まずパトカーであるが、これは当然ながら不可能だ。日本の警察が使っている本物のパトカーや覆面パトカーは、寿命を迎えても「民間へ払い下げる」ということがなくそのまま廃車となるため、そもそも購入できない。

 そして、精密なレプリカを作るにしても、赤色灯を装着することはできず、「◯◯県警察」や「POLICE」などの文字をボディサイドに表示することもできない。問題なく行えるのは「白黒のパトカーっぽい2トーンカラーにすること」だけだ。それではパトカーフェチの人もあまり面白くないはずなので、わざわざやる意味はあまりないだろう。

 ならば「消防車」はどうかというと、これが意外とイケる。官公庁系のオークションサイトを覗いてみると、各地の消防団や消防署などが使っていた消防車両が、5万円から60万円ほどで出品されている。これを見事落札したうえで、しかるべき車庫証明なども取得できるのであれば、「元・本物の消防車」を普段づかいすることは可能なのだ。

 とはいえ当然ながら「◯◯市消防本部」などと入っている文字をそのままにすることはできず、落札者は赤色灯も破壊して、その証拠写真を出品者(各地の自治体など)に送らなければならない。それでもOKというならば、消防車の普段づかいは十分に可能だ。したがって、赤色灯をそのままにして公道を爆走し、人様の家屋などに勝手に水をぶっかけたら、間違いなく逮捕されて懲役刑を食らうことになるだろう。くれぐれも用法には注意されたい。

 そして救急車も同様に、官公庁系のオークションサイトなどを通じて「元・本物」を入手可能である。おおむね10万円から80万円ぐらいの予算感で、さまざまな元・救急車が出品されている。しかしこれも消防車と同様に、赤色灯や「◯◯市消防本部」の表示などをそのままにすることはできず、救急隊員がカッコよく扱っている無線機も取り外されている場合がほとんど。それでもOKなら、官公庁系オークションに突撃してみるのも悪くない話かもしれない。

 陸上自衛隊が制式採用している73式小型トラックなども、パトカーと同じく「払い下げ」のシステムは存在しておらず、耐用期間が過ぎたものはそのままスクラップにされる。そのため残念ながら、元・本物の自衛隊車両を購入することはできない。2代目三菱 パジェロ ショートの中古車を買い、勝手に「73式小型トラックっぽい見た目」にカスタマイズするのは個人の自由だが、73式小型トラックのディテールを正確に再現するのはなかなかの難作業。ライフワークとして真剣に打ち込むのはいいかもしれないが、その熱意は、何かほかのことに生かしたほうがいいような気がしないでもない。

レプリカどころか本物が買える場合も!

 このような自衛隊車両や警察車両などが「そもそも購入できない」「そのままの仕様で乗ることも許されない」というのは、ある意味当たり前すぎる話だ。ならば「路線バス」はどうなのか?

 子どもの頃、誰もが一度ぐらいは「将来はバスの運転士さんになる!」と夢見たはず。ならば大人となったいま、カネの力で元・路線バスを購入し、レプリカの制帽なども被ったうえで「……左ヨシ。シュッパツ、シンコォ……」などとシブい声でつぶやきながら元・路線バスを運転するのは、かなりステキな趣味なのかもしれない。

 ……ということで調べてみると、元・路線バスを購入して普段づかいするのは、決して不可能ではないようだ。こちらも元・消防車などと同様に官公庁系オークションに出品されることはあり、それを落札すれば「シュッパツ、シンコォ……」は可能となるのだ。ちなみにオークションでの車両価格は10万円から60万円ぐらいである場合が多い模様。意外とイケそうなプライス感である。

 しかし当然ながら、これも決して簡単ではない。元・路線バスを運転するには大型免許が必要であり、バスサイズのクルマが停められる駐車場の確保と車庫証明の取得も、決してイージーではない。また、ICカードリーダーや整理券発行機、運賃箱などは外された状態でオークションに出品されるのが一般的で、乗車定員30名以上の大型バスは「整備管理者」の国家資格を持つ人を選任しないと所有することもできない。

「それでもいいからバスを持ちたい! 運転したい!」という人だけが、官公庁系オークションなどを覗いてみるべきなのだろう。

 最後に考えてみたいのは「民間企業の営業車レプリカは許されるのか?」という問題である。例えばトヨタのことが好きすぎてたまらない人がプロボックスバンの中古車などを買い、ボディ側面にトヨタのロゴを大々的にあしらう。そしてロゴマークの下部に「トヨタ自動車デザイン研究本部 001-02」などの架空の文字を入れてみる──などの話だ。

 筆者はトヨタファンではないのでそれはやらないが、東京ヤクルトスワローズのプラチナ会員として「ヤクルトのロゴと、ヤクルト1000の商品写真」をぜひともレヴォーグの側面に大々的に貼ってみたいとは考えている。ヤクルト本社を勝手に、無償で応援したいのだ。

 しかしこれは、結論からいうとアウトである。まぁ「そりゃそうでしょ」としかいいようのない話だが、メーカーのロゴは「商標権」などで保護されているため、他人が勝手に使うことはできないのである。商業目的で勝手にロゴを使えば逮捕および収監の可能性があり、「個人的な目的での使用だから」といって許されるものでもない。

 そうなると、「ならばフロントフェンダーとかに小さなサイズのメーカーロゴステッカーを貼ることも許されないのか?」という疑問も浮かんでくるわけだが、これも厳密に言えば「商標権の侵害」にあたるのだろう(※弁護士に取材したわけではないのでテキトーな推測です)。

 とはいえ、あなたがサスペンションメーカーの小さなロゴステッカーを愛車のフェンダーに貼ったところで、その会社の顧問弁護士が出てきて「剥がさないと訴えます」とやられることは99.9%ないと思われる。

 具体的にはホンダ公式サイトにある以下のQ&Aが、そのままこの問題についての「現実的な答え」になるはずだ(以下、honda.co.jpより引用)。
Q. Hondaウェブサイトで使用されている画像などを自分のホームページに使いたいのですが。

 A. Hondaウェブサイト上の画像・写真・文章表現・デザインにはHondaの権利以外にも、肖像権,著作権,制作会社・広告代理店などの権利が複雑に絡んでおり、正式の手順を踏んでクリアするのはきわめて困難です。原則としてお断りします。
(中略)
また、Hondaの商標であるHONDAロゴマーク、Hマーク、ウイングマーク、などをお使いになることは、商標権上許可されませんので、お気をつけください。(しかし、Hondaとしてインターネット上のコンテンツを監視しているわけではありませんので、もしお使いになる際は、ご自身の責任においてご判断ください。)