135ml、250ml、350ml、500mlとサイズ展開している「キリン一番搾り生ビール缶」。一番小さい135mlは全体に占める割合が1%とわずかですが、今後も販売を継続するといいます。どんな需要や狙いがあるのか、キリンビールの担当者を取材しました。

135ml缶の発売は1984年

 キリンビールによると、ビール各社が135ml缶を発売したのは1984年。

 当時、ビール業界では多種多様な容器を発売しており、すでに250ml缶はラインナップされていました。

 そんな中で、ワンコイン商品のブームもあって「キリン缶生ビール」の135ml缶を100円で発売することに。

 「ビールを少しだけ楽しみたい方、グラス1杯が適量という方のためにピッタリのサイズ」として売り出しました。

 現在、キリンで135ml缶をラインナップしているのは、ビールの一番搾りと、発泡酒の「淡麗極上〈生〉」の2種類だそうです。

担当者に聞きました

 「樽や瓶は含めず缶での割合になりますが、2023年の実績ですと一番搾りの中で135ml缶は約1%です」

 そう話すのは、マーケティング部ビール類カテゴリー戦略担当アソシエイトの京谷侑香さんです。

 どれくらいの飲酒量が日々の息抜きに適切かはユーザーによって異なるため、できる限りのバリエーション展開は重要。

 そんな考えから、割合は低くても販売を継続しているそうです。

 たくさんは飲めないけれど、皆と乾杯するためにビール気分を味わいたい。

 苦手意識があるけれど、飲めるようになりたい。

 そんな需要に加えて、「お酒を飲みなれているけれど、酔うと疲れてしまうから」といったシーンも想定しているといいます。

 「先日、一番搾りの新CMを公開したところ、一部のお客様から『自分がファンであるタレントさんが出ているなら少し味わってみたいけれど、普段はビールをあまり飲まないので135mlを買ってみたら、量もちょうどいいし、おいしく味わえた』という投稿を見かけました。ビールに苦手意識があった方でも、135mlならおいしい印象に変わることもあるようです」

 実際に販売している店舗からは「以前は高齢者、お盆時期のお供え物、インバウンド需要など限定的な印象だったが、最近は少量でいいから飲みたいというニーズがある」といった声が寄せられているそうです。

ノンアルコールや低アルコール飲料も増える中で

 今年2月には、厚生労働省が「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を発表。

 過度なアルコール摂取の健康リスクが問題視されるなか、ビール各社は大学や企業向けに適正飲酒のセミナーなどを開催しています。

 ノンアルコールや低アルコール飲料も増える中、135ml缶に求められる役割はまだありそうです。

 「銘柄にフォーカスされることが多い中、サイズに注目されるのは135ml缶ならではだと思います。『この銘柄が好き』よりも先にサイズが受け入れられ、今日に至っているのだと思います」