【バーリ=池田慶太】米国のバイデン大統領は14日夜、イタリアの先進7か国首脳会議(G7サミット)の閉幕を待たずに帰国の途に就いた。15〜16日にスイスで開かれるウクライナの和平実現に向けた国際会議「平和サミット」も欠席し、11月の大統領選に向けて選挙活動に専念する。

 バイデン氏はサミット初日の討議でロシアの凍結資産を活用したウクライナへの巨額融資の実現を強く後押しするなど国際協調重視の外交を展開した。ライバルのトランプ前大統領は「米国第一」を掲げて同盟軽視の発言を繰り返しており、米国の有権者にトランプ氏との差別化を印象づける狙いもあるとみられる。

 サミットの途中で帰国するのは、ハリウッド俳優らが米ロサンゼルスで開く選挙資金集めの会合に出席するためだ。平和サミットにはハリス副大統領が代理出席する。大統領選に関する世論調査でトランプ氏にリードを許す展開が続き、バイデン氏が焦りを募らせているとの見方が出ている。