【ソウル聯合ニュース】韓国の国会は2日、ソウルの梨泰院で159人が死亡した2022年10月の雑踏事故の真相究明に向けた特別法案を与野党の賛成多数で可決した。事故の再調査を行う特別調査委員会を設置することが柱となっている。

 同法案は今年1月、最大野党「共に民主党」主導で国会で可決したが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が拒否権を行使し、再議決を行う予定だった。だが、先月29日、尹大統領と共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表の会談後、与野党が従来の法案を一部修正した新たな法案を提出することで合意。新たな法案では調査委の権限について、警察が送検しなかった案件や捜査を打ち切った案件に対する職権調査の権限や家宅捜索令状請求の依頼権を削除した一方、調査委の活動期限を1年以内とし3カ月以内で延長できるようにした条項は維持した。

 調査委の職権調査権限や家宅捜索令状請求の依頼権は与党「国民の力」が削除を要求してきたもので、今月1日の交渉で共に民主党が国民の力の要求を受け入れた。

 調査委の構成は委員長1人と与野党が推薦した4人ずつの委員の計9人となる。国会議長が推薦する委員長は与野党の「合意」から「協議」で任命するよう変更された。与野党の合意なしに国会第1党の共に民主党出身の国会議長が委員長を推薦でき、野党が数的優位を占められる。国民の力が譲歩したとみられる。