オーストラリアの仮想通貨取引所バイナンス・オーストラリアが、突然オーストラリアの銀行システムから「切り離される」と真夜中に告げられた。同社の地域マネージャーであるベン・ローズ氏によれば、事前の警告や協議、救済措置はなかったという。

5月18日、バイナンス・オーストラリアは豪ドル建てサービスが停止すると発表した。決済プロバイダーのゼプトが、バイナンスへのサポートを停止するようパートナーの銀行・決済プロバイダーであるカスカルから指示されたためだ。

6月26日に開催されたオーストラリア・ブロックチェーン・ウィークで、ローズ氏は、オーストラリア国内にいる約100万人の顧客が影響を受けたと明らかにした。

「夜の11時半に24時間以内に銀行取引を停止するという通知を受け取り、それが後に12時間に短縮され、銀行取引が停止された」

ローズ氏は「理由は完全には明らかでなく、メディアでも良く思わなれなかった」と振り返る。以前、カスカルの報道担当者はコインテレグラフに対して、バイナンス・オーストラリア関連の問題についてはコメントを控えたが、仮想通貨関連の「詐欺や不正」について言及していた。当初はバイナンスの顧客が懸念したが、「これらの銀行変更によって影響を受けたのは、現地の仮想通貨業界全体であることが明らかになると、その調子はすぐに変わった」とローズ氏は語った。

カスカルがバイナンスをオフボードしたのと同じ日に、オーストラリアの「ビッグ・フォー」の一画であるウェストパック銀行が、詐欺防止策の一環で仮想通貨取引所への支払いをブロックする試験を開始すると発表。1か月も経たないうちに、オーストラリアの大手銀行であるコモンウェルス銀行も、同様の仮想通貨関連の支払いブロックを開始した。

イベントでの発言後、ローズ氏は、バイナンス・オーストラリアが代替となる決済プロバイダーを探していることについて、話し合いが続いているとして、追加情報は提供しなかった。

ローズ氏は他にもプロバイダーがいると認めたが、カスカルが「この業界の大部分を支えている」と述べた。オーストラリアの仮想通貨業界は、カスカルと提携して現地の銀行システムにアクセスするモノオバ、ザイ、ゼプトなどの仮想通貨に対応した決済プロバイダーに依存してきた。

カスカルが支援する決済レールは、バイナンスの仲間である仮想通貨取引所のBTCマーケット、クラーケン・オーストラリア、コインジャー、インディペンデント・リザーブなど、多くの仮想通貨関連のフィンテック企業に利用されている。

イベント上で、ローズ氏は銀行パートナーへのアクセス喪失が「ビジネスに実質的な影響を与えていない」と主張。バイナンスのユーザーは「他の方法を利用しており、プラットフォームでまだサポートされている銀行カードへの入金が行われている」と述べた。

ローズ氏は、規制当局や銀行部門と連携し、業界に「適切なライセンス」を導入する必要性を強調。「オーストラリアは比較的迅速に動くべきだ。世界中の管轄区域が前進している」とローズ氏は語った。「私たちは、国としての窓口があり、チャンスがあると考えているが、ライセンスを迅速に進めないリスクもある」と述べた。