文献は何度も読む。「脳細胞が衰えているから、いつでも新鮮に読めますよ(笑)」

「お客様から、『おかげさまで元気になりました。私も長生きできるように頑張ります』と言われると、やっぱり嬉しくて。この仕事をしていて良かったなあと幸せを感じて、天職に感謝し、もう少しだけ続けようと思ってしまうんです。

大変なこともあったけれど、困った時はいつも誰かが助けてくれました。これからも感謝の気持ちを忘れず、頼りにしてくれる人がいる限り頑張っていきたいと思っています」

最近になって膝の古傷がぶり返してきたという圭左さんだが、気持ちは前向きだ。

「20年前、半月板にひびが入ったのですが、手術はしなかったの。お医者さまからは、今はもう軟骨がつぶれていて手の施しようがないと言われています。だから漢方薬を飲んだり、痛みが出たら薬を飲んだり湿布を貼ったりしてやり過ごしているんです。

とはいえ、ゆっくりなら30分くらい平気で歩けますし、クヨクヨ考えても仕方ない。痛みが出る日もあるものの、それでヨシとしています」

取材中、常連客からの電話で、何度か話が中断することがあった。電話を終え、当たり前のように途切れたところから話を再開する圭左さんに、「あれ、どこまで話したっけ?」が日常茶飯事の筆者は度肝を抜かれた。間違いなく圭左さんの脳細胞のほうが元気だ。

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人に期待されることが幸せだと語っていた恵美子さんと、お客さんとのふれ合いに生きがいを感じているという圭左さん。

人生100年時代をハツラツと過ごすには、生活習慣に気をつけることはもちろん、何歳になっても打ち込めるものがあり、人や社会とつながっていることがいかに大切か――。それをしみじみと感じた。