値上げラッシュは続くのか。帝国データバンクによると、主要な食品メーカー195社における5月の食品値上げは417品目で、前年同月(837品目)と比べて半分ほどに減少し、2カ月ぶりに1000品目以下にとどまった。

 帝国データバンクによる4月時点のデータでは、2024年は10月までに少なくとも7424品目の値上げがある見通しであり、年間の平均値上げ率は18%に達する。2023年に7000品目以上の値上げがあると判明したのは2022年12月時点だったことと比べ、4カ月遅いペースといえる。

 値上げ要因別に見ると「原材料高」の割合が高まっている。天候不順による不作で、カカオ豆やインスタントコーヒー製品の原料となるロブスタ豆、オリーブなどが高騰。2023年後半にかけて沈静化していた原材料高による値上げが、一部食品で再燃した。

 2024年5月の値上げに占める割合が最も高い食品ジャンルは「酒類・飲料」で253品目。酒類・飲料が単月で最多となるのは、2023年10月(3198品目)以来、7カ月ぶりだ。オリーブオイル製品を中心に「加工食品」(97品目)、「原材料」(66品目)では50%を超える大幅な価格引き上げが目立った。

 帝国データバンクは、原材料高に起因した値上げが足元で再燃しており、7月以降には製粉各社で強力粉以外の小麦製品が値上げとなることから、菓子や麺製品などの分野で値上げの動きが強まる可能性があるとしている。大幅な円安が続いており、輸入に頼る企業では一層のコスト増が見込まれる。賃上げによる人件費や、物流費でもコストアップが続いており、飲食料品への値上げ圧力は今後も相当に高まることが予想される。

 なお2024年の後半は、月平均で1000品目前後、年間で最大1万5000品目の値上げペースで推移するとみられる。帝国データバンクは「1ドル150円台後半の円安水準が長期化あるいは一段と進行した場合、今秋にも円安を反映した値上げラッシュの発生が想定され、当初予想の品目数から上振れする可能性がある」とコメントした。