長崎の被爆体験者と広島の「黒い雨」の被害者の運動の成果や課題を共有し、一日も早い援護を求めるシンポジウムが長崎市で開かれました。

(広島 長崎の裁判に携わる 足立修一弁護士)

「(広島と長崎)、同じ現象が起こって同じようにならないといけないということを確信を持って、進まなければならない」

シンポジウムでは、それぞれの被爆地で「被爆者」として認定を求める裁判に携わってきた弁護士や支援者らが登壇しました。

広島高裁は2021年「黒い雨」にあった原告全員について、放射性物質を体内に取り込んで起きる「内部被ばく」による健康被害の可能性があるとして、被爆者と認める判決を出し、広島では救済対象が広がりました。

一方、長崎の被爆体験者は被爆者と認められておらず、裁判が続いていて、広島の原告からエールが送られました。

(広島「黒い雨」訴訟原告団事務局長 高東征二さん)

「内部被ばくの問題を正面からぶつけないといけない。認めさせる闘いを推し進めてほしい」

(被爆体験者訴訟原告団長 岩永千代子さん(88))

「国の威信にかけても許さないぞというものを感じる。だからこそ、小さなあかりだが、内部被ばくこそ残していく」

被爆体験者の裁判は、今年9月、長崎地裁で判決が言い渡される予定です。

また14日は、原爆放射線の人体への影響について研究してきた長崎市の研究会が最終報告書案をまとめました。

低線量被ばくの人体への影響について「示唆する研究成果も複数出ている」としながらも「国際的なコンセンサスが得られるような確固たる知見は得られなかった」と結論づけています。

医師で研究会会長の朝長 万左男氏は、一方で「低線量被ばくの健康リスクの上昇を確認できたことは大きな成果」とし「被爆地域拡大の行政的判断の参考になる」とあとがきに記しました。

(朝長 万左男会長)

「拡大地域の人々の低線量でも病気が起こりえる可能性が一応推定できる知見は参考にしていくべきでは」

近く鈴木市長に報告し、報告書は国にも提出するということです。