春はママ友が増える機会が多くなる時期、ママ友トラブルも急増します。

いざというときのために、ママ友いじめの実態や、いじめのターゲットにされてしまったときの対応方法について知っておきましょう。

解説してくれたのは、「恋人・夫婦仲相談所」の所長で、過去には大規模ママ友サークルを運営していた経験もある三松真由美さんです。

ママ友いじめの鍵を握る「クラスLINE」という文化

もっともよく見るいじめが「仲間外れ」。“学生じゃあるまいし”と言うオトナ目線の発想は通用しない世の中です。

入学・進学と同時に多くのクラスでできる「クラスLINE」は、学校の公式の連絡網ではありませんが、ママ同士にとっては、メインの情報ツールになります。

多くは、お兄ちゃんやお姉ちゃんが既にその学校に入学している(いた)経験者ママ、派手で目立ちたがりのママ、常にトップに君臨したいボスキャラママといった「カースト上位」のママたちのグループが最初にできて、そこから友だち、そしてまたその友だちのママたちが招待されて連鎖的に参加していくような形を取ります。

最初の関門は、その「連鎖」に加われるかどうか。学校公認の公式なグループではありませんから、参加必須ではありませんし、公式に参加を呼びかけるアナウンスがあるわけではありません。

入学式後など、目立つ「カースト上位」風なママたちが集まってスマホ片手に何やらやっているようなら、さっさと帰ってしまわず、その様子を少し離れて視界の端でさりげなく確認しながら、声がけの連鎖につながれるよう、まずは近くのママたちとつながって様子を見守ること。

避けたほうがいいのは、いきなり見知らぬカースト上位ママたちの輪に割り込んで「LINEグループ、私も入れていただけませんか」などとストレートにアピールすること。そんなつもりはなくても「こいつ、いきなりマウント取る気?」と目を付けられる原因にもなりますので、その他大勢に紛れつつ声がかかるのを待ちましょう。

無事にクラスLINEに参加したあとも、グループ内での行動には注意が必要です。よかれと思って丁寧にリアクションのスタンプを毎回送るのもじつはNG。そのたび全員に通知が飛ぶので「このママ、ウザっ!」と思われる可能性があります。スタンプの利用も周りの様子を見て控えめにするのが無難です。

衝撃!ボスママによるママ友いじめの実態

無事にクラスLINEに参加して、目立たないように行動していればママ友いじめを回避できる可能性は高まります。しかし、注意していたはずなのになぜかボスママに目を付けられてしまったというケースも。

たとえば筆者が話を聞いたサクラさん(仮名46歳)は、つぎのような被害を受けています。

「私の場合、けっこう高齢出産だったので、同学年のママたちとだいぶ年が離れていたんです。仕事もフルタイムで続けていたのですが、それがなぜかボスママの気に障ったようで……事実無根の誹謗中傷を周囲にばらまかれました。もちろん、私には直接言わないので、仲良しのママが『こんな噂が流れているよ』とこっそり教えてくれるのですが、その内容が本当にヒドくて

『不妊治療で数百万円かけてやっと子どもを作った』
『高齢だったので自分では産めず、代理母出産だった』
『育児は全部自分の母親任せで、自分は産休終了翌日から仕事復帰していた』
『母親からの愛情不足で息子は性格がゆがんでいるらしい』

などなど、私だけでなく息子に対する事実無根な噂を流され、それが一番辛くて悔しかったです」

コトミさん(仮名35歳)もクラスLINEには入っていたにもかかわらず、ママ友いじめの被害に遭いました。

「クラスLINEには入っていたのですが、その陰にあった『裏LINE』からはハブられていました。うちの娘が内気でおっとりしていて、いじめの対象になりやすかったのか、クラスの男の子からちょっかいを出され、泣いて帰ってくることがよくありました。それで担任の先生に、クラスでの様子を聞いたり、相談したりしていたのですが、それがいじめをやっていた男の子のママたちを怒らせてしまったようなんです。

それからというもの、面と向かっての誹謗中傷はなかったものの重要な連絡は裏LINEで行われ、『情報を教えてもらえない』といういじめに遭いました。

一番ヒドいと思ったのは、担任の先生が辞められる際の寄せ書きやプレゼントの企画のことを全く知らされなかったこと。クラス主催のお別れ会で子どもたちは1人ずつ先生にプレゼントを渡す時間があったのに、私が何も知らなかったため、我が家は何も準備できず、娘は教室で泣き出してしまったと、後から担任の先生に聞きました」

ママ友いじめが、ママ本人だけでなく、お子さんにも影響が及んでしまうとは深刻な問題です。

ママ友いじめへの対策、どうすればいい?

もしママ友いじめのターゲットになってしまった場合、どのように対応すればいいのしょうか?いくつかのポイントをご紹介します。

1.距離を置く
ママ友間の狭い関係に身を置いていると、その世界がすべてのように思えてしまいますが、人生における人間関係はママ友だけではありません。

「別にこの人たちと仲良くなれなくてもいいわ」

と、必要のないママ友とは距離を置くことをおすすめします。信頼できる友人が1人でもいれば、その他大勢とは思い切って距離を取り、自分の心が落ち着く環境を取り戻すことが大切です。

2.噂ははっきり否定する
「人のうわさも七十五日、放っておけば次第におさまるよ」という方もいますが、いわれのない誹謗中傷は、はっきり否定するべきです。とくにお子さんに関わるような根も葉もない噂には、毅然として対応しましょう。

3.PTA活動に参加して人脈をふやす
PTA活動というと、誰もが役員をやりたがらない、究極の「ハズレくじ」的なイメージがありますが、じつは学校の先生と知り合いになれたり、自分のクラス以外の保護者、他学年の保護者ともつながりができたりとメリットもあります。

クラスの中の人間関係に行き詰まるようでしたら、クラスの外に人脈を増やすことでご自身が安心したり、楽しんだりできる場が広がります。幸いなことにPTA活動に参加したいという人は少数派なので、役員に立候補すれば、多くのママから感謝され、ご自身の株が上がるというメリットもあります。

思い切ってクラス外での活動に気持ちを切り替えることもおすすめです。

嫌なママ友は一部、前向きな気持ちで新しい出会いを楽しんで!

新しい環境で嫌なママ友にぶつかることもあるかもしれませんが、そんな人以外の素敵なママ友のほうがずっとずっと多いはず。

お子さんが新入生なら、ママだってその環境では新入生。いろんな衝突や悩みが合って当たり前です。

人生は長く、世界は広い。相性が悪いママ友と付き合う期間はほんの数年。視野を広くして「今だけ今だけ」と、余裕ある気持ちで臨みましょう。いちいちささいな悪意に反応せず、毅然とした態度で過ごしていると、凛とした立ち居振る舞いになっていきます。そうすれば自然と「○○さん、かっこいい」と一目置かれるようになるでしょう。

ぜひ、前向きな気持ちで、新しい出会いを積極的に楽しんでください。


◆監修・執筆/三松 真由美
会員数1万3,000名を超えるコミュニティサイト「恋人・夫婦仲相談所」所長として、テレビ、ラジオ、新聞、Webなど多数のメディアに出演、執筆。夫婦仲の改善方法や、セックスレス問題などに関する情報を発信している。『堂々再婚』『モンスターワイフ』など著書多数。

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構成/サンキュ!編集部