<ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ 2日目◇3日◇茨城ゴルフ倶楽部 東コース(茨城県)◇6665ヤード・パー72>

予選カットラインまであと1打という状況で迎えた最終18番。アン・シネ(韓国)は5メートルのバーディパットを決めると、ひざから崩れ落ち、顔を手で覆った。これでトータル4オーバーとし、なんとか決勝ラウンド進出となるラインに滑り込んだ。涙の予選通過だった。


初日はイーブンパーの25位タイで終えたが、2日目になると14.5フィートという数値が弾き出された高速グリーンに翻ろうされた。4番でダブルボギー、9番ではトリプルボギーなどがあり前半は「43」の大たたき。「予選通過をしないといけないストレスがありました。後半に入ってもこんなゴルフではダメだとイライラもしました」。いつもにこやかな表情が崩れそうになるのを、なんとかガマンした。

その後はパーを並べ、局面は終盤の15番に入った。この時点で7オーバー。週末行きに黄信号が灯っていた。そこでキャディからかけられた言葉が、『あと4ホールでバーディを3つ取ればいい』。それで目が覚めたように、15番、16番で連続バーディを奪う。そして、18番へと続くことになる。「ボギーは絶対に打てない。韓国から応援も来てるからどうしても落ちるわけにはいかなかった」という意地が生んだ終盤の猛ラッシュだった。

これが試合で流す「はじめて」の涙だった。韓国ではメジャー1勝を含む3勝を挙げているが、「優勝した時でも泣きませんでした」という。ただ、ラウンド後に話を聞いた時も、苦労した一日を振り返るとまた涙があふれ出してきた。

「最高にうれしいです」と泣き笑い。2017年の日本ツアーデビュー戦だった思い入れの深い大会で、初めてとなる予選落ちは免れた。「(決勝は)最後の4ホールみたいなゴルフができれば。怖くないものがない人は怖い。ゴルフ場が怖い、ボギーが怖いと思っていたらボールが当たらなかった。怖いものなんてないと思ってからバーディも取れました」。よみがえったセクシークイーンが、ここから笑顔のラウンドで大会を盛り上げる。(文・間宮輝憲)


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