ユーリ阿久井政悟が練習公開

 ボクシングのWBA世界フライ級王者・ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)が18日、5月6日に東京Dで行われる同級3位・桑原拓(大橋)との初防衛戦に向け、拠点を置く都内の帝拳ジムで練習を公開した。世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)と元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)の歴史的一戦の興行に参戦。3年前に下した挑戦者を再び返り討ちにすることを誓った。戦績は28歳の阿久井が19勝(11KO)2敗1分け、29歳の桑原が13勝(8KO)1敗。

 初回KO劇9度を誇る阿久井はパワーだけじゃない。「スピードスター」の異名を持つ挑戦者の桑原が16日の公開練習で「スピードVSパワーの構図になる」とコメント。しかし、王者は「ぶっちゃけこっちはパワーじゃないんで。そういう構図はどうかなと。相手もテクニックがあるし、技術の勝負になる」と全否定し、自身も技術を磨いてきた自負を強調した。

「やっぱり圧倒したい。相手がいることですが、そこをどうコントロールするか。どんな相手だろうとコントロールしないといけない。そういう練習をしてきた」

 2021年7月、日本フライ級王者だった阿久井は桑原に10回TKO勝ち。初回と最終回にダウンを奪った。今年1月に6度防衛中だった王者アルテム・ダラキアン(ウクライナ)に3-0の判定勝ちを収め、岡山のジム初となる悲願の世界王座奪取を果たした。一方、桑原は再起後5連勝中。阿久井の王座奪取はリングサイドで観戦していた。阿久井も警戒を緩めない。

「前回の桑原選手はスピードがあった印象。最近はパワーも加わって一発で倒している試合もある。そこを警戒したい。駆け引きをするようになっていると思う。技術面の勝負でどちらがペースを握るか。(前回対戦以降も)桑原選手の試合はずっと見ていました。同年代なので」

 この日はシャドー、ミット打ち、サンドバッグをそれぞれ2回ずつ披露。シャープな動きで順調ぶりをアピールした。

会見でコメントする阿久井【写真:浜田洋平】

幼い娘が力に「『世界王者おめでとう』と言ってくれる」

 より強い相手とスパーリングを重ねるため、3月31日から都内で出稽古。名門・帝拳ジムに拠点を置き、最初の2週間は週5度、今は3度のスパーを積んだ。ウィークリーマンションで暮らす。妻と幼い娘が週末に会いに来てくれるが、基本は減量食、洗濯も全て自分でこなした。

 妻がファンの男性アイドルグループ「SUPER EIGHT」のコンサートで東京ドームに行ったことがある。アリーナ席から眺め、「野 球選手はここでホームランを打つんだ」と広さを体感した。1月の前戦はエディオンアリーナ大阪で初めて大型会場を経験。「凄く楽しかった。こういう舞台に向いていると思えた」と物怖じしない。

 勝利を届けたいのは「やっぱり家族」と説明。3歳の娘は「わかっているかわからないけど、最近はたびたび『世界チャンピオンおめでとう』と言ってくれる」と力をくれる。「世界王者になって全然ゆっくりできなかった。負担もかけているので負けられない」と最愛の家族に勝利を届ける。

○…興行はAmazon プライム・ビデオにて「Prime Video presents Live Boxing」の第8弾として独占生配信される。井上と阿久井戦のほか、WBO世界バンタム級5位・武居由樹(大橋)が王者ジェイソン・マロニー(オーストラリア)に世界初挑戦。尚弥の弟のWBA世界同級王者・井上拓真(大橋)が同級1位・石田匠(井岡)との2度目の防衛戦に臨む。同じ興行で世界戦4試合は国内最多3試合を超える史上最大規模となる。

(THE ANSWER編集部)