陸上・関東インカレで輝いた選手たち 女子1部・400メートル/日体大フロレス・アリエ(2年)

 9日から4日間、行われた陸上の第103回関東学生競技対校選手権(関東インカレ)。2年ぶりに国立競技場で開催された熱戦を取材した「THE ANSWER」は文武両道で部活に励む選手や、怪我や困難を乗り越えた選手など、さまざまなストーリーを持つ学生を取り上げる。今回は女子1部・400メートルに出場した日体大フロレス・アリエ(2年)。自己ベストを0.7秒更新する54秒07で優勝した。高校2年夏に全国高校総体(インターハイ)で6位入賞も、体重管理に苦労し伸び悩んだ。「今年ダメだったら400メートルを辞める」と覚悟を持って挑んだ今季。結果を残し、自信を取り戻した。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

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 スピードは最後まで落ちなかった。6レーンのフロレスは序盤から加速し、アウトレーンの中大・飯田景子(4年)ら前を追った。ホームストレートも失速することなくフィニッシュ。「ラスト50メートルで仕掛けた。自己ベストを出せば優勝できると思っていた」。有言実行の自己ベスト更新。54秒07の好タイムで関東の頂点に立った。

 東海大翔洋(静岡)2年時に56秒20を記録し、インターハイで6位入賞。しかし、以降は体重管理に苦労した。「高3から上手く走れなくなった。距離に不安を感じるようになって最初から全力でいけなくなった」。タイムは1分台まで落ちた。

「今年ダメだったら400メートルは辞める」と背水の覚悟で挑んでいる【写真:中戸川知世】

 刺激を与えてくれたのは日体大進学後に巡り合った先輩たち。昨年、入学直後の関東インカレ同種目で当時4年生だった須藤美桜と森山奈菜絵がワンツーフィニッシュ。「自分も日体大に入部したからには成長しなければいけない」と気合いを入れ直した。

「今年ダメだったら400メートルは辞める」。覚悟を決めて挑んだ今季。1月にインフルエンザに感染し、自然と体重が落ちたことが怪我の功名となり好調に。体重管理の重要性を実感した。自炊を始め、ほうれん草を中心とした食事を徹底し、半年経たずマイナス8キロ。54秒台を叩き出し、復活を遂げた。

 関東No.1の称号を得て、次に挑むのは6月の日本選手権。「53秒台を出して、上位を狙っていきたい」。払拭した不安の代わりに自信を手にしたスプリンターが、日本最高峰の大舞台で飛躍を誓う。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)